ジェリー エピローグ
雲仙市の事務所に向かうため 大村市の自宅を車で出発して30分後のちょうど12時、諫早市内を走行中、妻より電話の着信。
スマホの操作出来なかったが 予感はあった。
トランスコスモススタジアム長崎の駐車場に車を止め 通話すると、やはり、ちび(ジェリー)の訃報だった。
ドライアイスと保冷ケースを 購入して帰ると伝え、電話を切り、しばらく青い空を眺めた。
まだ、天には向かっていないらしく、ちびの姿は無く、白い雲がぽっかり浮かんでいるだけだった。
気を取り直して、ペットの火葬業者に電話をした。最短で本日13時から対応可能と言われたが、早すぎるので、翌日13時に予約を入れた。費用は小型猫なので 1,1000円ほど。
ドライアイス(製氷会社にて 1キロ 1,000円程度で 個人にも販売してくれる)、保冷ケース(発泡スチロース製 1,000円程でホームセンターで売ってる)、そして葬儀業者と淡々と準備出来たのは、昨年末より、腎不全末期で 通院する日々が続いていたので、必ず来るその日の事前調査を済ませていたから。
帰宅後、ちびの遺体と対面。
5年ほど前までは、自宅でお酒は ほぼ飲まない主義だったが、人生も後半で、酒量を増やして ぐったりと眠りに着くことも多くなった。
翌日、12時、ちびの遺体を車に載せ 山頂にある火葬場へ。
遺体のまわりに花で飾り ちょうど13時から火葬開始。
拾骨までは 45分程掛かるとの事。
その間、山頂のベンチに座り、大村市の景観をぼんやり望み、何百もいただいた皆さんからの twitterメッセージを、ひとつひとつ読んでいた。
ふと、ベンチの横に気配を感じ、目を移すと猫。
いつもなら、相手するのだが・・・
「ごめんね。いま、おじさん、猫を構う気力が無いのよ」 と背中を向けた。
それでも「旅立つ猫もあれば、新たに出会う猫もあり」と、間合いを詰めてくる。
「いやいや、家には アイ婆、実家には リン君、そしてもうすぐ1歳になる梅と 居ますので結構です」と 無視したが・・・
脇の隙きを伺い、いきなり膝の上へ、脇下に頭を突っ込み、グルグル、フミフミしてきた。
山頂であり、吹風は少々冷たく、下ろそうとしても「動くな」と 激しく鳴くので 45分間際まで抱く羽目に。
拾骨に向かうと、ちびの真っ白で細い骨が待っていた。
最後は、腎不全でやせ細った、ちびの体重は 1キロほどだった。
一番 ちいさな骨壷を選び、箸で入れていったが、ぴったりと収まり、火葬場を後にした。