【星を掬う】〜母と娘の難しさ
おはようございます。
肌寒い曇り空…冬が近づいてますね。
気になってはいたけれど
帯の文字からなかなか手を出せずにいた
【星を掬う】を読み終えました。
3世代に渡る母と娘の物語
一度かけ違えたボタンを直す術も調べず、
ただこうなってしまったことを、今の自分の不幸を、
誰かのせい…母のせいにしてしまう。
このままではダメなことはわかるけど
抜け出す方法が死を選ぶことしか浮かばない主人公に偶然の出会いが重なっていくことで人生が大きく動いていく…
あまりにもリアルで壮絶な表現に途中、何度も本を閉じてしまいましたが、どうしても続きが気になって…作家さんの文章力の凄さですね。
読もうと思えるようになったのは
ここ数ヶ月、数年ぶりに仕方ない事情で母と会ううちに、それまでの憎しみに近い“キライ”という感情を、それも含めこれが私たちの母と娘というカタチなんだと思えるようになったから。
何も変わらない人に期待しなくなった、ということでもありますし、そのままを受け入れて対処していけるようになったとも言えます。
そして、“キライ”はもっと愛して欲しいの裏返しだと気づいたとき…ショックでしたが認めることで乗り越えていける気もするようになったのです。
私をちっとも見てくれない
いつも感じていたこの感情を“キライ”と思うことでやり過ごす術が身についてしまっていたのでしょうか。
でもいつも心の中では大きな声で
もっと私を愛して欲しい!と叫んでいたこと、
それが伝わらないから憎しみというカタチにしていたこと…
逆にそれを母から見たら
自分なりには精いっぱいの愛情を込めているのに
どうしてこんなに捻くれてるんだと思ってたのかもしれない…
お互い似すぎて、近過ぎて、何かの拍子にかけ違えたボタンを戻せずにいたのではないかと思えてきたタイミングでこの本を読むとあまりにも主人公と重なって…
ツラい読書となりましたが、最後には乗り越えた!という喜びで涙が溢れていました。
愛されなかった仕返しを無意識のうちに
『ろくでもないオトコ』を愛する(ほんとは愛じゃないとわかってるけど)ことで、こんなにダメな自分になったことを認識する
それが母への唯一の復習
ほら!あなたがしてきた結果
私ってこんなにダメな不幸な人生になったよって。
虚しいけど、幸せになると見てもらえなくなるのではという見えない呪縛に囚われ抜け出すことはしない、
ボロボロの姿を見ればかまってくれるかもしれないから。
母親がごめんねと言えば終わるのか?
私なりに見つけつつあるこの長い“かけ違え”の答えは
感情的にならずにごく普通に話せること…なのかなと思います。
それだけ?
そうそれが一度も出来なかったから。
近過ぎて、似すぎてぶつかるから、すぐ感情的になってしまい、ちゃんと向き合って来なかったし、それで嫌われるのが怖くて避けていたのでしょう。
母も後期高齢者となった今
やり直せるかはわかりませんが、見つけた答えを合わせていけたらいいなと思います。
重く苦しい描写ですが
ぜひ読んでいただきたい本でした。