
教材研究をしてみた~1年生国語科「ずうっと、ずっと、大すきだよ」
授業を始める前に
2月も中旬に差し掛かり、いよいよ国語科では最後の物語教材を読んでいきます。今年1年は国語の物語に力を注いで実践してきた1年でした。それも個人ではなく、学年として取り組んできたので、とても充実していました。「おむすびころりん」の劇、「やくそく」のペープサート、「くじらぐも」の音読劇、そして「たぬきの糸車」の好きな場面交流。どれも子どもたちがもれなく「楽しい!」と言った授業だったわけです。そんな子どもたちは今では物語を読むのが大好き。2年生になっても「物語を読むってとても楽しい!」と思えるように、1年生最後の物語教材をデザインしたいと思います。
教材文「ずうっと、ずっと、大すきだよ」を読み解く
本単元のねらいは小学校国語科学習指導要領の読むの考えの共有になります。
「文章を読んで感じたことや分かったことを共有する。」
このねらいを達成するために、「ずうっとずっと大好きだよ」の教材文を使って授業を考えます。この教材はとにかく感動モノ。大人さえその物語に涙する人もいるのではないでしょうか。(母親はこの教材をするたびに泣くらしいです…笑)そんな素敵なストーリーをただ読むだけでなく、教材としての価値を引き出すデザインってかなり難しいと感じています。そんな中でも、子どもたちが「いいな」「すきだな」「どうしてかな」と思うところを中心に据えた単元デザインで本授業に臨もうと考えています。
単元計画をデザインしてみた
① 物語を読み、初発の感想を書く。
② 音読をする。
③ 初発の感想から出た問いをもとに、学習計画を立てる。
④ 物語のあらすじを捉える。
⑤ 問い①について話し合う。
⑥ 問い②について話し合う。
⑦ 問い③について話し合う。(どうしてぼくはとなりの子からもらった犬をいらないといったのだろう)
⑧ 心に残ったことを学級で交流する。
これもまた、子どもたちとデザインしていくことではありますが、事前準備として、このような流れで実践しようと思っています。今回は初めて「子どもたちの感想から問いを立てる」ということに挑戦します。子どもたちと一緒に立てた問いを単元の中に入れ込み、読み解いていけるような授業ができるといいなと思います。あくまで、子どもを学びの主体者としてで、教師から提示する問いはできるだけ避けたいのです。子どもが自ら問いをもち、課題解決していく姿が見れるといいな、と。
初発の感想の視点がすごく大切
今回は初発の感想をノートに書かせようと思っています。その際に、「読んで思ったことを書きましょう」だけでは、問いをつくるために必要な深さの感想が出てこないと考えています。そのため、「いいな」「すきだな」という視点に加えて、「どうしてだろう」という疑問に思った箇所も取り入れることで、子どもたちの言葉から問いを立てやすくします。そして、ここで書いたものは、文字起こしして、次の時間、子どもたちに一斉に共有し、子どもたちが互いの感想を共有し、そこから対話が生まれるように仕組む予定です。ここまでは教師が引いたレールの上で子どもたちが対話し、ここから先は、子どもたちが自ら学びの道を作っていけるといいなと思っています。
感想の共有と本文の往還を
初発の感想を共有した際に、全員、とまではいかなくともできるだけたくさんの子どもの感想を個人個人に聞きたいと考えています。そして、そう思った根拠となる部分を本文に立ち返らせ、そこを音読する。聞いている友達に対して、共感できるか、違う考えがあるかという視点を取り入れることで、子どもが本文と他者の感想を往還できるのではないかと考えます。それらを繰り返すことで徐々に、教材文の中で、クラスの友達がどこに対して強い印象をもち、どこに疑問をもっているのかに気付かせていきたいのです。そううまくはいかないでしょうが…。
子どもたちの読みが広がる支援を
よく言われるのが、「初発の感想を書かせる理由を教師がもっているか」ということです。とりあえず形だけ書かせる、いわば「ファッション初発の感想」があるあるです。上述したように「問い」を立てるために今回は初発の感想を書くようにするわけですが、もう一つねらいがあります。それは、物語の学習前と学習後で読みの広がりを視覚的に感じることができるようにするためです。まだ子どもたちの言葉が出てきていないので、具体的なことはわかりませんが、おそらく初発では「悲しいお話」という文脈のものが多くあると思われます。しかし、読みを進めることで、「心温まるお話」に変化する子どもがいると考えています。その子ども自身の考えの変化をメタ認知できる手立てを打とうと思っています。付箋かカードか短冊か色鉛筆かわかりませんが…。でもこの支援で子どもが自分自身の学びをメタ認知できる可能性がぐっと広がると思うのです。
最後に
この単元で校内研究をするわけではありません。誰かに見てもらうものでもありません。しかし、これだけ力を入れたいと思うのは、やはり年間を通して国語の物語を大切にしてきたストーリーがあるから。そして事実として子どもが楽しく夢中になって学ぶ姿がそこにあったからなのです。このストーリーは僕の学級だけが紡いだものではなく、学年でつくってきたものというのも重要なところです。だからこそ、学年で最後までしっかり取り組み、子どもが「2年生も国語の授業、楽しみだな!」と思えるといいなあって思うのです。