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野分過ぎ満月を見て盆惜しむ

台風後の満月。
満月は久しぶりだった。
布団に寝転んでカーテンも閉めず、しばらく満月を眺める。
8月18日。お盆も終わってしまった。
1年に数回しか会えない人の成長や老いを実感する。
こうやって月を見て振り返ると月日の早さに記憶が追いつかず寂しくなる。
明日の仕事がどうとか、子供の夏休みがどうとか色々な日常ノルマがある中で何か大事な事を見落としているような気がしてならない。
僕の近しい人たちはこの満月をみて何を思うのだろう。
暑い夏がきて寒い冬がきて車のタイヤが擦り減るように僕も何かしらを擦り減らしている。
外見は身体の締りも緩くなり、髪は白く歯も細くなっていく。
若さを取り戻したいとは思わないが、僕の近しい人の力になるように努力したい。ひとりだけの力は限られている。僕も努力すれば2人分の力になれる。
自分のいる意義とは?
必要とされている?
いなくなったらどうなる?

今夜の満月のように、たまにはあのぐらいの存在感を残してみたい。
まん丸な満月をジッと見つめる。
段々と丸い輪郭がボヤけてくる。
まわりを囲んでいた雲も今は晴れた。
満月のひとり舞台。
セリフはあのオレンジにも白にも見える光の筋だ。何と言ってる?
あゝ。聞き取れないが、その雰囲気だけで癒される。
僕は今夜とこれまでの夜を
秋への歓迎をこめて”君に”感謝したい。

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