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提言⑮地域コミュニティ通貨の導入

 ゴールデンウィークの最終日。
 あなたは、ゴールデンウィークをどう過ごされたであろうか。

 ゴールデンウィークは、普段に比べて「幸せ」を過ごせる時間が多いと思う。
 最近「幸せ」について真面目に考えていて、ベンサムの功利主義ではないが、幸せな人がたくさんいれば「幸せ」の総量が上がり、結果、世の中が幸福になる。
 
 自分もいろいろな「幸せ」を得ることができたゴールデンウィークだった。

 気がつけば、この期間、1,000kmも車を動かしていた。
 我が町から東京まで500km。
 ちょうど1往復した計算だ。

 いろいろな場所に行って、いろいろな知見を得ることができた。
 2年間帰省できなかったきょうだいとその家族にも久々に会うことができた。
 最近はオンラインでの会議も多いが、やはりリアルで人と会うと違うものがある。
 話があちらこちらに行ったりしながら、その脱線のなかにその人の本音や気持ちが隠れていたりする。また、その人を五感で感じることによって、印象が変わる。
 モニター越しに、マスクで覆い隠された表情からその人の本質をとらえることは難しい。 
 人とのつながりや「リアル」の大切さを改めて感じることができたゴールでウィークだった。

 *****

 そのゴールデンウィークのさなか、たまたま朝の情報番組を見ていたら、面白法人カヤックが提供する「まちのコイン」が紹介されていた。


 「まちのコイン」とは、地域で使える「デジタル通貨」で、いわゆる「地域通貨」とよばれるものの一種だ。
 この「まちのコイン」は、法定通貨と交換することはできないが、例えばボランティアで掃除をしたり、何かの人の役に立つ活動をしたり、指定された行動を行うとコインをためることができて、そのコインを飲食店などが提供するサービスや体験事業の参加料の代わりとして使うことができる。

 朝の情報番組では、鎌倉のまちのコイン「クルッポ」が取り上げられていて、あるお店の窓ふきをしたり、差し入れをすると「クルッポ」がもらえ、ためた「クルッポ」を、タケノコの取り放題や紅茶教室の参加料として使う事例が紹介されていた。

 カヤックとは仕事のつながりもあり、この「まちのコイン」も素晴らしい取り組みとして以前からその存在は知っていたが、実際にどういう使われ方をしているのかまでは分からなかった。

 今回、多様な使われ方をしていることを改めて知り、地域経済や関係人口の拡大など、活用の仕方次第でその可能性は無限にあるということを実感した。

 この「まちのコイン」の取り組みは、全国でまだ17地域にとどまっているが、各地で様々な取り組みが行われている。
 例えば、長野県の上田市では、キャッシュレス化が進んでいる地域性を背景に、「デジタルコミュニティ通貨実証実験」として「まちのコイン」を導入し、市民協働で目指す 「持続可能な新しい商業」のありかたに取り組んでいる。

 この「まちのコイン」は地元の住民がそのコインを地域で使うことにより、それに付随して地域経済が回ってくるという地域経済活性化の側面のみならず、鎌倉の例でもあったように様々な体験や生涯学習的な活動にも使える。
 また、「まちのコイン」の使い方として、スポーツ教室の体験チケットとしてみたり、お土産用の物産品を扱う観光業者であれば「味見」として箱売りのお菓子の一部をサンプルとしてみたり・・・なんてこともできるであろう。

 
 実に夢のある話ではないだろうか?

 我が町でも、実際に色々なお店でポイントサービスをやっている。
 また、複数の店舗が加入する協同組合では、モノの購入、飲食などで支払ったお金にポイントをつけて、たまったポイントを協同組合の加盟店で使用する取り組みも行われている。
 しかし、その取り組みはあくまで、商品の購入や飲食にかかる費用の補填にとどまっており、さまざまな「体験」の参加料だったり、実際商品としては売られていないが捨てるにはもったいないものの購入費(「例えば端材など」)だったりには使用できない。
 またポイントの貯め方も、誰かのために役立つことをしてポイントをためるとか、ボランティアでポイントをためるとか、そういうことができない。

 そういうポイントサービスではなくて、「まちのコイン」のように、行政サービスも絡めながら住民を誘導していく使い方もある。
 例えば、ポイントの貯め方を「健康教室に参加すればポイントがたまる」とか「一日5000歩あるけばポイントがたまる」とかしてみたらどうだろう。
 そうすれば、住民はゲーム感覚でポイントをためることができ、健康増進につながるだろう。
 これが行動経済学のいうところの「ナッジ」で、住民にちょっとしたきっかけを与え、住民が無意識によい選択をするように誘導することができる。
 
 もちろん、使うサービスも魅力のあるものにしなければならない。
 先に挙げた「食料品の端材」や「生涯学習講座の受講」のほかにも、高齢者の居場所での茶菓サービスの提供とか、イベントでのポイント優遇サービスなどアイデアは無限大だ。
 そして、この取り組みは、さまざまな住民のつながりにも寄与することができる。

 ここまで書いてみて、「まちのコイン」導入によって、我が町も覚醒するのではないか、という期待が見えてきた。
 もちろん、上田市と同様「デジタルコミュニティ化」と並行して取り組まなければ意味がない。

 我が町の明るい未来を考えただけで少し「幸せ」になった。
 いいゴールデンウィークだった。


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