提言⑦ 市民に開かれた「議会改革」のススメ
インターネットの市議会の中継を聴きながら記事を書いている。
外は小春日和といっていいくらいの晴天なのに、気持ち的には泣き出しそうなくらいどんよりしている昼前の時間である。
正直、どれくらいの人がこのインターネットの市議会中継を聴いている(見ている)のだろう?
市政に関心のある、もう仕事をしていない高齢者のインテリ層か、一部のノイジーマイノリティか、そんな層のためのライブ中継といっていい。
もちろん、アーカイブもあるので、サラリーマンや仕事勤めの方は後から見ればいいのだが、果たしてどれくらいの人が自分の余暇の時間まで使って市議会中継を見るのか疑問である。
市議会自体がエンターテインメント性に富む内容ではないので、関心が低いのはしょうがない。
「予算が○○」、「決算が△△」、「条例が◇◇」といったって、市井の方々にはなんのこっちゃ?の話であることが多い。
「とどのつまり、なんのこと?」
を市民にわかりやすく伝えるのも行政や市町村議会議員の役割であると思うのだが、硬直したシステムの中、市町村議会の改革はなかなか進まない。
例えば「休日・夜間議会」。
1718ある市町村議会のうち、「休日議会」の制度を取り入れているのは53議会。率にしてわずか3%。
「夜間議会」はもっと低調で、制度を取り入れているのは20議会、率にして1%という状況である。
課題があるのはもちろんわかる。
一つには当局の職員の負担。休日議会や夜間議会では、時間外に出勤しなければならないこととなり、職員に負担がかかるし、経費もかさむ。
また、夜間議会では、時間が限られているため、十分な議論ができるかという懸念もある。
しかし、こういった課題を乗り越えながら、より市民が議会に関心を持ってもらうような取り組みの一つとして「休日・夜間議会」を導入するまでいかなくても、試行する意義はあるだろう。
はじめから、「ムリ」と決めつけるのではなくて、まずはやってみる、検討を始める、その一歩を踏み出すことが重要である。
また、「休日・夜間議会」にかかわらず、例えば市町村議会の一般質問ダイジェスト動画をつくりSNSにUPするとか、4コマ漫画の連載するとかいろいろなチャレンジをしてみるのはどうだろうか。
市町村議会だよりとか、広報とかの様な紙媒体を住民に配布することももちろん重要だが、紙ベースでの世帯配布は世帯主しか見ない傾向にあるし、若い方が市町村議会だよりとか広報等を見ることはほとんどない。
もちろん中学生議会とか高校生議会とか、若者が市議会に関心を持ってもらうような啓発の取り組みは各所で行われている。
早稲田大学マニフェスト研究所・議会改革調査部会が行った「議会改革度調査2020」において、全国ランキングの住民参画部門1位の北海道芽室町議会では、議会自らが活性化計画を策定するとともに、自己評価や外部評価等の検証を行い、次年度への計画づくりに役立てるいわゆる「PDCAサイクル」を回す取り組みを行っている。
また、有識者からなる議会サポーター制度や、議会モニター制度などを導入し、市民に開かれた、わかりやすい議会制度に取り組んでいる。
そして、通常の自治体では、1年に4回ほどの定例議会と、必要に応じて開かれる臨時議会という2本立ての制度を、必要とあればいつでも議会を招集することができる「通年議会」制度とし、災害などの突発的な事項や緊急的な行政課題に対して柔軟に対応できる制度としている。
こういった市民のための議会改革事例を参考として、我が町でもすぐにでも「議会改革」に取り組むべきである。
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