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寂しいことは何にもないよね。

転職活動の為に、
1人で地方都市のビジネスホテルに泊まっている。

何度も来たことがある町だけど、
1度も住んだことはない町。
いつか住んでみたいと思っていた街、
けれども、
いいところも悪いところも何にも知らない街。

友達がほとんどいない。
でも、多分大丈夫。

上京して10年とちょっと、
趣味らしい趣味がなくて、
ひとり遊びが好きだった。
東京なら、1人で出かけて楽しい場所が沢山ある。
1人で見る映画も、1人でする外食も、1人で街の中を歩くのも、
楽しいなあ、楽しかったなあ、なんて思う。

新しいものが次から次へと現れて、
なんかしら面白そうなイベントがあって、
ふらっと行けるところがあって、
珍しくて、ワクワクすることが沢山あって、
キラキラとしていて、
素敵なもので溢れている。

東京での生活は大好きだし、飽きないし、
別に都会の生活に疲れたわけでもない。
ただ、新しい場所に行く勇気が、
この瞬間、このタイミングで出てきたのだから、
それに従ってみた方が面白そう、
と漠然と思って、
気づいたら、
来月にはここに住むのだなあ、
という感慨と不安混じりの気持ちで、
ホテルの窓から街を見てた。

ここではきっと、
1人で何かをするにしても、
車でもなくっちゃ限界があるんだろうなあ。

ふと、夕飯を1人で食べながら思う。
これまでの私の生活って、私の毎日って、私の人生って、
ここでは、
まるでつまらないものに見えるのかもしれない。

寂しいことは何にもないよね。
きっと、ここでも私は、
何にも変わらず生活するんだと思うんだ。
けれども、
この街に少しずつ染まって、
いつしか、
東京で楽しかった何かを忘れてしまうような気がする。
そして、思いがけない楽しみに出会うかもしれない。
それで構わないと思える。
それがいいと思える。
だからきっと、
寂しいことなんて何にもないよね。

#エッセイ #とりとめもないこと #移住 #日常


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