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「CHAOS;CHILD」感想─この作品はシュタインズ・ゲートを超えたのか?─(ネタバレ若干あり)






─そして。
─僕は、このくそったれなゲームをクリアーした。








つい最近、CHAOS;CHILD(カオスチャイルド)というゲームをクリアした。それで、つらつらと感想を語りたくなったので、久しぶりに筆をとって書き残しておこうと思う。この記事を読んで、ぜひともCHAOS;CHILDを遊んでもらえると嬉しい。願わくば、この作品について語り合う友達になったほしいと思う。

┃CHAOS;CHILDとは?

CHAOS;CHILDは、5pb.より2014年12月18日に発売されたXbox One用ゲームソフトだ。現在では様々なハードに移植され、大抵のゲーム機ならプレイ環境が整っている。ちなみに僕はスマホ版(iOS/Andoroid)で遊んだ。

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画像引用元http://chaoschild.jp/origin/tw/images/tw_header.jpghttp://chaoschild.jp/origin/tw/images/tw_header.jpg

この作品は科学アドベンチャーシリーズ(以下、科学ADV)の第4弾に当たる。科学ADVは「99%の科学と1%のファンタジー」をコンセプトに株式会社MAGES.の志倉千代丸が企画・原作を手掛ける現実に存在する科学的事象を物語の骨格として組み込んだSFサスペンスだ。ゲームに限らず、小説、漫画、アニメなど様々なメディアで展開されている。

XBOX ONE版のOPムービー。シンプルにカッコいい。

このシリーズで最も有名なのは第2弾のSTEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)だろう。

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画像引用元http://steinsgate.jp/img/special/wall0918_L.jpg

この作品は2009年に発売され、2011年にアニメ化し人気を博した。2013年には劇場版が公開され、2015年には正統続編のSTEINS;GATE 0(シュタインズ・ゲートゼロ)が発売。2018年にはSTEINS;GATE 0もアニメ化され、昨年10周年を迎えたシリーズの中でも屈指のヒット作である。

CHAOS;CHILDは第1弾のCHAOS;HEAD(カオス・ヘッド)から6年後、つまり2015年の渋谷を舞台として物語を展開し、前作の設定や作風を色濃く受け継いでいる。

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画像引用元http://5pb.jp/games/chaoshead/wallpaper/wp1_1280.jpg

続編的な立ち位置の作品ではあるが、登場キャラクターは一部を除いて一新されているし、前作の出来事はちゃんと解説されているので本作からプレイしても問題ないだろう。むしろ未プレイのほうが余計な先入観がなく楽しめるかもしれない。とは言え、ストーリーを深く考察したり散りばめられた細かい小ネタを余すこと無く楽しみたいなら是非ともCHAOS;HEADもプレイするのがいいだろう。


感想を書き残す前に簡単に作品のストリートや登場する用語について解説しておこうと思う。この作品は、その性質上ネタバレすると面白さが半減するので、できるだけネタバレをしたくないのだけれども、前情報なしでいきなりプレイしろというのもハードルが高すぎると思うのだ。公式HPで公開されている程度の情報については解説しておこう。




少しでもネタバレされるのが嫌な人はブラウザバック推奨。





┃あらすじ

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画像引用元https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71kAlAV3BUL._AC_SL1000_.jpg
”渋谷地震”と呼称される震災から6年後の西暦2015年10月──
復興中の渋谷で奇妙な事件が続発する。
ネット生放送中に視聴者の前で謎の死を遂げる者。
ストリートライブ中に歌いながら死にゆく者。
ラブホテルの天井から吊られ回っている死体。
人々は気づき始めた。
事件の発生日は6年前の渋谷を騒がせたとある事件と日付が一致する。
──そう、これはニュージェネレーションの狂気の再来なのだと。
ただ──ひとつだけ違うことがある。
事件の現場に残されている謎のシール。
不気味な力士を模したようなシールが事件の鍵になることを、
まだ誰も知らない。
暗躍する300人委員会。
覚醒しつつある妄想具現化者たち。
彼らの”胎動”により妄想の扉が再び解き放たれる……。
引用CHAOS;CHILD公式HP


┃用語解説

○渋谷地震

2009年11月6日10時28分に渋谷区で発生したマグニチュード7.8の局地的な地震。

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画像引用元https://pbs.twimg.com/media/C14PEHzUoAA1RKY?format=jpg&name=medium

渋谷駅周辺の市街地は壊滅状態となり最終的な死者は3851人に達した。2015年現在では急速な復興が進められ、一部の爪痕を残すのみとなっている。この地震は前作カオスヘッド終盤のとある出来事に起因している。


○ニュージェネレーションの狂気

渋谷地震以前の渋谷を賑わせた連続不可解事件。

通称、ニュージェネ。2009年9月7日深夜、渋谷コーネリアスタワー屋上のヘリポートから、5人の高校生が転落死した事件から始まる7件の事件のことを指す。猟奇的で不快感を誘う事件だが、インターネット上ではおもしろおかしくちょっと笑ってしまうような通称がつけられている。

乳毛その1@集団ダイブ ノノノ---(o||||||´▽`)oノ
乳毛その2@妊娠男 \(||`□´||;;\)
乳毛その3@張り付け †|†|(@□@)|†|†
乳毛その4@ヴァンパイ屋ξ--(; ̄ξ ̄;)---ξ
乳毛その5@ノータリン へ(´ρ`)ノ~
乳毛その6@美味い手 Ψ(Q^; )Ψ
乳毛その7@DQNパズル (゚∀。)ノ・ω・)ノA` )ノ
※ニュージェネレーションの狂気→ニュージェネ→乳毛

いずれの事件も猟奇性が高いため検索する際は注意。

○ニュージェネレーションの狂気の再来

2015年に発生し渋谷を賑わせる連続不可解事件。

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第一の事件「こっちみんな」

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第二の事件「音漏れたん」

CHAOS;CHILDの物語開始時点で”こっちみんな”と”音漏れたん”と呼ばれる2つの事件が発生しており、渋谷地震後に新設された私立「碧朋学園(へきほうがくえん)」に通う主人公、宮代拓留(みやしろたくる)を始めとした新聞部は、この事件の謎を追うことになる。ニュージェネレーションの狂気の再来と呼ばれるのは、各事件の発生日が6年前のニュージェネレーションの狂気の日付と一致しているのが所以。

○妄想具現者─ギガロマニアックス─

妄想の剣「ディソード」を持ち、自らの妄想を現実に変える力を持つ者たちの総称。一見ファンタジーの世界の存在に思えるが、作中において、その理論は脳科学と量子力学に基づく科学的な根拠に基づいている。

○ディソード

ギガロマニアックスに覚醒したものだけが手にできる「妄想の剣」。

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所有者ごとに形状が異なっており、リアルブート=現実化させなければ普通の人間には視認できない。ギガロマニアックスが妄想を現実化する際に、重要な役割を果たす。



┃感想



「めっっちゃくちゃ面白かった!」




感想としては、この一言に尽きる。

実は、僕がこの作品をプレイしたのは今回が初めてではない。2017年にも一度プレイしている。ただ、今回遊び直してみて、より作品に対する理解が深まったし勘違いしてしまっていた箇所に対する認識も修正することができた。そう感じている。

というのもこの作品、スキップ無しでクリアまでに50時間近くかかる、そのボリュームと、最初の1周目を終えたことによる満足感でプレイしなおすことができずにいたのだ。

色々と今回、語りたいことがあるが、この作品の魅力を3つに絞って感想を述べたいと思う。


①丁寧に散りばめられた伏線

実は僕がCHAOS;CHILDをプレイするのは2回目だ。前回プレイしたのが2017年の夏だったから、ちょうど3年ぶりにプレイすることになる。3年も経過する結末は覚えているもののストーリーをちょうどいい塩梅で忘れているものだ。おかげで散りばめられた伏線の数々に驚いたと言ってもいい。

丁寧に紡がれた物語において、これでもかというくらい伏線が散りばめられている。登場人物どうしの何気ない会話や描写一つ一つが伏線と言ってもいいくらいだ。

スキップせずすべての文章を丁寧に読んでいるとクリアまでに50時間くらいかかる大ボリュームの作品だが無駄な描写がほとんどない。

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物語の途中で時折、マッピングトリガーと呼ばれるゲームシステムを通じて現状起こっている出来事を整理してくれるのがありがたい。このシステムのおかげで物語の内容がわからなくなるということは、ほとんど無いだろう。

科学ADVシリーズはどれも伏線回収が上手いのだけれども、読んでいる最中は多少の違和感を覚えるもののスルーしてしまうような何気ない伏線が多くあとから振り返ったり真実を知ったときのカタルシスは歴代1位と言っても過言ではないだろう。


②予想を裏切る展開の連続

この作品は最後の最後まで王道から外れた展開で進む。かくいう私もミスリードにまんまと騙され続けた。騙された先で待ち受けていた残酷な真実や引き起こされた事件に、かなり精神的にショックを受け思わず頭を抱えたくなった。

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可愛らしい美少女キャラが数多く登場し、ギャルゲーのような雰囲気を醸しているが、中身はなかなかハードなサイコサスペンスホラーだ。

「製作者、頭おかしいんじゃねえのか」

思わず、そうつぶやいてしまったこともある。もちろん褒め言葉として。

そういった展開によって続きが気になる秀逸なストーリー構成は、辞め時を失ってしまうほど引き込まれるものだった。


③キレイに閉じる物語

伏線を至るとこに散りばめ、プレイヤーを裏切り続けた物語はこれ以上ないくらいに綺麗な形で幕を閉じることになる。

これ以上書くとネタバレになってしまうためやめておくが、トゥルーエンドにたどり着いたときの余韻とても素晴らしいものだ。

どのような形で物語が紡がれ、そして幕を閉じるのか。それは自分自身の目で確かめてほしい。

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クリア後は、全てを理解した上で、もう一度遊びたくなること間違いなし!


┃この作品はシュタインズ・ゲートを超えたのか?

この記事のタイトルにもあった「この作品はシュタインズ・ゲートを超えたのか?」というキャッチコピー。実はこれは公式で採用されていたキャッチコピーである。

それに対する僕の感想を述べておきたい。





この作品はシュタインズ・ゲートを超えたのか?





その問いに対する僕の答えは「シナリオはシュタインズ・ゲートを超えた」と言っていいだろう。

シュタインズ・ゲートも散りばめられた伏線と、予想を裏切る展開、そしてキレイに閉じた物語は美しいものだった。しかしその質はCHAOS;CHILDに及ばない。貼られた伏線の内容も密度もはるかにシュタインズ・ゲートを上回ると断言していい。

少なくとも物語単体で見たとき、CHAOS;CHILDは間違いなくシュタインズ・ゲートを超えたと言っていだろう。

けれども、そもそもシュタインズ・ゲートとCHAOS;CHILDで比較することはナンセンスな気がしている。物語のベクトルが違うから。

シュタインズ・ゲートが王道なら、CHAOS;CHILDはその逆を行くのだ。

物語の結末に至ったときの感動は、どちらの物語も比較し難いぐらい素晴らしい。

ただCHAOS;CHILDの物語の性質上、本編のその後を描くのは難しい。スピンオフで描かれることはあったとしても、本編に匹敵するくらいのボリュームを持った続編がでることは難しいと思う。コンテンツとして純粋に今後も楽しむのなら絶対にシュタインズ・ゲートに軍配が上がるだろう。


┃最後に

萌え絵で描かれるギャルゲ風のタッチや、登場人物のクセの強さによるとっつきにくさ、精神をえぐるグロテスクな展開は人を選ぶ作品であることは間違いない。間違いなく万人受けする作品ではないだろう。

けれども平成史に残る名作になったと僕は考えている。

ぜひともプレイしたことがない人は、これからプレイしてほしい。スマホでも簡単に買うことができるので。

さて、この作品はネタバレをしてしまうと面白さが半減どころか10分の1にまでなってしまう。やはりネタバレ有りで思う存分感想を述べたいと感じた。ネタバレ無しで書くのは、僕のスキルではこれが限界だ。

次はネタバレ有りの感想記事を書こうと思う。それではまた。

あでぃおすぐらっしゃー!

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