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半成人式で描いた夢
「将来の夢は一級建築士になることです!」
10歳を迎え、半成人式の舞台のうえで宣言したのを覚えている。小さい頃から実家が大好きだった。田舎の自然に囲まれた実家で、日光浴しながら昼寝をして過ごせる広々としたウッドデッキがあった。そして、中学校から近かったこともあり、実家の駐車場で学校帰りに友達とサッカーをするのがお決まりであった。家は大切な思い出を提供する空間だと、幼いながら感じており、将来その空間を生み出すことに胸を躍らせていた。
一級建築士になるために高校2年生で理系に進み、大学は工学部の建築学科を志望した。だが、当時高校サッカーに夢中だった私は、第一志望に落ちてしまう。どうしても建築学科に行きたかったこともあり、浪人をした。絶対に第一志望に受かってやると意気込み、1年間毎日予備校に通い勉強を重ねた。だが、当時のセンター試験の結果が芳しくなく第一志望にAO試験で落ち、前期試験で第二志望の大学に受かった。ただ、点数が足りず希望していた建築学科ではなく、化学系の学科での入学となった。
幼い頃から夢見ていた一級建築士への道が断たれたことに、私は絶望していた。ただ、本当になりたければどうにかしてなれるはずだと思い、方法を考えた。そして、大学2年が終了する際に成績に応じて転学科ができることを知った。この2年次まで転学科に向けて成績をおさめようと邁進する生活が始まった。
そして、大学2年の秋頃に学部の教授に意を決して相談にいった。当時、自分が一級建築士になりたいということを信じて疑わずに生きてきた。逆にそれ以外になりたいと考えたこともなかった。だが、教授と話すうちに自然と涙が溢れ出た。「本当に、転学科したいのか?」と。あれ、転学科して一級建築士になりたいんだったよな。小さい頃からの夢なんだよなと。
転学科するとなると、1年追加で大学に在籍する必要がある。そのリスクを取ってでも自分は一級建築士になりたいはずであった。だが、心から確信が持てずにいた。自分がわからなくなっていた。
そこから教授と面談を数回繰り返した。「自分はなんで一級建築士になりたいのか」「それ以外に選択肢はないのか」「一級建築士でないといけない理由はあるのか」「今自分がやりたいことは何か」徹底的に向き合っていただき、対話を通して自分の進むべき道を整理していった。
結果、転学科をしないことにした。自分が当時、心から一級建築士になりたいという気持ちがなかったためだ。たくさん時間をとって自分と向きあってくださった教授には感謝しかない。
そこからは、2〜3年は自分が何になりたいのか模索し続ける日々が始まった。教員免許を取得していたこともあり、高校教師になるのか。大学院で環境科学の研究室に所属していたこともあり、気象予報士かメーカーもいいなと。
結果的に、現在この記事を書いているいま、IT企業のマーケティング部に所属して、イベントやメディア運営をしている。大学院時代にSEOライティングのインターンをしていたこともあり、マーケティングの職種で就活を行ったのだ。そして、刺激的で充実した日々を過ごしている。
今は、半成人式のあの頃、思い描いていた未来とは異なる。想像していなかった未来ではあるが、間違いなく手探りで自分のやりたいことと向き合い続け、進んできた今だ。
道中、「この選択でよかったんだっけ」と考えることも勿論ある。そんな時は高校時代のサッカー部の恩師の「置かれた場所で咲きなさい」という言葉を思い浮かべる。正直、正解なんてないと思う。自分がどれだけ考えて向き合って、納得感を持ち進めるか。それに尽きるのではないだろうか。
やりたいことは変化し続ける。その時々でやりたいことを全力でやる。全力で取り組むうちにやりたいことは“訪れる”ものだ。大義名分は後付けでもいいじゃないか。
今やりたいことがある方は、それに全力で取り組めばいいと思う。逆にない方は、手探りでも興味があることを拾い続けていけば、未来につながることを信じて日々を過ごして欲しい。
これからも充実した今、そして未来が続いていくと信じている。