寝顔は見ないで 〜冬のおはなし〜
当初、右肩辺りで丸くなっていたゆいを、寒いので何とか布団の中にいれてやりたいと、布団の肩口を開けるのに、猫はなかなか入っては来てくれなかった。
それでも北側の寝間は、11月ともなればガンガンに冷たくなる。
ある日ついに好奇心に負けたのか、布団の中にもぐってみてからは、毛布にくるまるみたいにぬくぬくしてくれるようになった。
冬の間、ゆいは右脇の下に来て寝る。
甘えてゴロゴロ震わせながら、私の脇下側から顔の方へと上体を投げ出すように両腕を伸ばして乗せてくる。
顎だけ乗せる風な日もある。
最終的にはわきの下にすっぽり収まるように体重を乗せ換えるので、私も右腕を丸めて添わせるとずん、と寄りかかってくれる。至福の重みを味わえる。
つまり毛布の下に完全に入り込んで丸くなって眠るのだ。
ただ共通しているのは私にはその表情をはっきりとは見られない。
老眼な上に近眼なのだ。
一度、まだゆいと寝始めた頃、ゆいが眼鏡を架けない私の目に向かって猫パンチを繰り出し、以来眼鏡をつけたまま寝るようにしている。
でも、ごろごろ喉を鳴らしている甘えた顔はさぞや可愛かろうと、顎を向けるも猫の顔はぼやけている。
それである日、勇気を出して眼鏡を外した。
期待に反してぼやけていた。
多分絶妙な距離なんだろう。
以来、何度挑戦しても輪郭すらぼやぼやなままだ。
ぼやけていてもにやけるくらい、想像で補えているんだけれど。
そうこうするうちにゆいは私の顎下へ顔を突っ込んで寝るようになった。
寝顔を見られたくないのかもしれない。。。
☆☆☆見出し画像はみんなのフォトギャラリーより、kanabemouse.art様の作品『お願いねこ』を拝借しております。ありがとうございます☺️☺️☺️☆☆☆☆☆
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