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愛犬・外飼いトイプードルの思い出21

玄関には、愛犬のお骨が入ったキーホルダーが置かれている。

前代の犬から20年以上にわたり散歩を担当していた高齢家族は、そのキーホルダーを持ってウォーキングに出かけている。
家族のグループLINEに「買い物に行く途中で愛犬に似たトイプードルを見かけると立ち止まって見ちゃう」と書き込んだのは、長年、餌やり担当だった高齢家族だ。
最後に愛犬と一緒に旅行をしていた家族は、FBに思い出の動画を投稿していた。

家族中に愛犬ロスが蔓延している……。

外飼いだった愛犬のトイプードル。昼間は庭に置かれた犬小屋で、シニア犬になってからは玄関に置いたゲージで夜を過ごしていた。ゲージは夕方になると玄関に入れ、朝になると外に出していたのだが、旅先で愛犬が死んでからもしばらくは、生きていた時と同じように、ゲージを入れたり出したりしていた。

もう犬はいないし、玄関が狭くなるからそんなことはしなくていいのに、習慣と、突然の訃報を受け入れがたかったのかな、そのことに誰も何も言わなかった。ゲージが片付けられたのは、以前から度々、玄関で躓いて転んでいた高齢家族の「そろそろ……」の一言による。

その前の晩、ふと玄関を見ると、ゲージの中の敷物の上に、居間のテーブルのそばの窓際に置かれていたはずの骨壺が、ぽつんと置かれているではないか。高齢家族の一人がやったに違いない。最後だからゲージで寝かせてあげようと思ったのか?そのちょっとヘンテコな愛情表現に思わず吹き出してしまった。

おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな








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