[短編]惑星小旅行
肩掛けリュックを下に置き、隕石のソファに腰掛けた。ここは星の降る丘。
天の川下流へ石を投げると、水面に触れた場所が光って泳ぎ始めた。指で追って線で繋ぐと大きなサカナになった。
サカナはオーロラのオーブを落とした。子供だろうか。子は水面に鮮やかな絵を映し出し、私の足元に寄ってきた。掬い上げると指の隙間から黄金がこぼれ落ち、私の膝を経由して親の元へ帰った。子はいつの時代も宝だな。
空を見上げると透明のカモメたちが群れをなして、子サカナと共鳴するかのように光だした。夜空に放物線を描きながら惑星を横切る。
流れ星の落ちた場所にエメラルドの草木が育ち、森へと姿を変えた。しばらく散歩していると、後方に虹の轍ができていることに気づいた。
小指に羅針盤である惑星のピンキーリングをはめ、暗黒物質の砂漠へと足を進めた。指輪の導きに従い、少し進むと黒水晶の世界の中に真っ赤な炎を見つけた。それが目印だ。
その近くに青いダイヤでできた大きなオアシスがある。円形に縁取られたその場所で、私は美醜のスープを飲んだ。
離れれば鮮明に見え、近づけば見にくい。
オアシスは一つの生命だった。
そして私はサザンクロス駅へと帰路に着いた。