-CRAYON ARTIST-
今回、『24M』が注目しているクレヨンアーティストの 渡邉菜月さん をインタビューいたしました。 渡邉さんは、台東区上野のアメリカントラッドのセレクトショップ『Free port』、カフェ『Bock』で6月に個展を開催いたしました。
このインタビューでは、『Free port』の店主である藤島さんも参加頂き、展示について対談して頂きました。
渡邉さんがクレヨンアーティストになられた経緯や作品にかける思いなど、普段ではなかなか伺うことができない内容となっております。 皆様、ぜひご覧ください。
(本文)
ー6月に行われた展示を拝見させて頂きました。 どれも本当に素晴らしい作品ですね! そもそもクレヨンアーティストにはどのような経緯でなられたのですか?ー
渡邉さん 「じつは、大学に入学する前はアニメーション、絵本の挿絵などに興味がありまして。子供たちが喜びそうな創作物に興味がありました。」
ー大学では何を専攻されていたんですか?ー
渡邉さん 「私は、東京藝術大学で油画を専攻しました。 でも、いわゆる油画をほとんど制作しなくて。 入学前からずっと考えていたのですが、幼少の時から純粋に絵描きを楽しむことができるクレヨン画にすごく惹かれたこともあって、子供から大人まで喜ぶような作品を制作するにはクレヨンがしっくりくると思い、入学して3ヶ月くらいでクレヨンで制作活動を始めるようになりました。」
ーなるほど、そういう経緯だったんですね。 でも、油画専攻でクレヨンで制作されている方って、ほとんどいらしゃらないですよね。 周りの方の反応とかはどんな感じだったのですか?ー
渡邉さん「クレヨンで制作している人はいなかったですね。(笑) 友人からは「さすが、なっちゃんだね」とか「なっちゃんしかできないわ」とか言われたり。 課題もクレヨンで制作したものしか提出しないので、教授もいつの間にか容認してくれました。(笑)」
ーそれは面白いです。 他とは一線を画している感じ、素晴らしいですね。 だから、渡邉さんの作品は魅力的で人の目に留まるのですね。 作風についても伺いたいのですが、クラシカルな、こちらの作風はどのように生まれたのですか?-
渡邉さん「私は、昔のアメリカの映画や古いアニメーション、あとポスターなどがすごい好きなんです。 だいたい1930~50年代のものを見たりすることが多いのですが、映画ですと、”SINGIN IN THE RAIN” 、 ”HAIR SPRAY” など。 昔のコカコーラのサンタクロースのポスターとか。 だから、そのような雰囲気がある作風というか、自分の素敵だなと思う時代感がある作品になっています。」
ー古き良きアメリカですね!! それが根底にあるにもかかわらず、ただノスタルジックなものにならず、ノスタルジックさとモダンさが調和したような独特で華がある作風は渡邉さんでしか創ることができない作品ですよね。 ー
渡邉さん 「ありがとうございます。 私は、やっぱり画を描くことが本当に好きで、とくに誰かのために画を制作できることが、すごい楽しいんですよね。 それが子供のためだったり、誰かのへの贈りものだったりとか。 自分の作品で人に喜んでもらえることが、アーティストしての喜びなんです。」
ー6月に開催された個展でも渡邉さんのファンの方がかなりお越しになられたと伺いました。 ここからは、『Free port』の藤島さんにご参加いただき、お二人に今回の展示ついてお伺いさせて頂きます。 藤島さん、今回の展示はいかがでしたか?ー
藤島さん 「今回の展示は、すごい好評でした!! 渡邉さんは作家としてデビューされて、そんなに間もないと思いますが、先ほどの話にありましたが、すでにファンの方がかなりいらしゃったので、すごいびっくりしました。」
渡邉さん「今回の展示にみなさんがお越し頂き、本当に嬉しい限りです。」
藤島さん 「普段、うちの洋服を買いに来て頂く方とは違った方とお話ができて、私もすごい楽しかったです。 ところで、洋服屋さんでの展示はどうでしたか?」
渡邉さん 「洋服屋さんで展示するのも初めてで、展示には、私の妹が衣装製作の仕事をしているので、アドバイスをもらおうかなとか色々と考えたり。 あと普段、作品を壁にかけることが多いので、ショーウインドーのような立体的な空間を使って、作品を展示できるのは本当に面白かったです。 あのショーウインドウを舞台に見立てて、展示したら面白ではないかと思って、ショーウインドウの作品は制作しました。」
藤島さん 「いや~、ショーウインドウの作品、すごい格好良かった! あれにはタイトルがありましたよね?」
渡邉さん 「タイトルは、 ”GET READY FOR A DINNER” というもので、展示が洋服屋さんというもあったので、夕食のレストランに行く前に着飾る男女のシーンをイメージして制作しました。」
藤島さん 「本当にめちゃくちゃ洒落ていて、正直、ずっとあの状態のままにしたいくらいでした! 渡邉さんの周り方々にも反響とかあったんじゃないですか?」
渡邉さん 「あの作品を知って頂いたかはわからないのですが、アパレルのお店のロゴの製作の依頼もきました。(笑) あと、藤島さんのご友人のご紹介で、大手百貨店での展示も決まったり、確かに、普段ではあまりないことが起こりました。」
藤島さん「それは良かった~。 うちで展示をやった甲斐があります! 渡邉さんの作風は、アメリカントラッドと親和性があるから、今度、展示を行う時は、渡邉さんの作品の絵柄になったネクタイとかを作っても面白いかも!」
渡邉さん「あっ、面白そうですね! ぜひ、機会がありましたら、やりたいです!!」
ーまた、同時期くらいに『Free port』の近隣にあるカフェ『Bock』でも展示をされていたと思いますが、そちらではどのようなことをされていたのですか?-
渡邉さん 「カフェ『Bock』さんでの展示では、窓に画を描くことを初めてしました。 営業中にライブペイントみたいな感じで制作しました。 誰かに見られながら作品をつくることが普段と違って、すごい面白かったです。 窓に『Bock』さんで提供しているチャイの画を描いていたら、お客さんが何を描いているのか聞いてこられて、お応えしたら、チャイを注文してくれました(笑)」
ーまさにライブ感溢れるエピソードですね!(笑)ー
渡邉さん 「そうですね。(笑) ライブペイントに近いことはしたことがなかったので、すごい楽しかったです。 もちろん、店内にも作品も飾って頂いたので、普段、私の作品を見るきっかけがない方にカフェにご来店され、ご覧いただけたのは良い機会でした。」
ー今までにない場所での展示は、新しい交流が生まれるので、面白そうですね! 渡邉さんはこれからされたいことなどは何かありますか?ー
渡邉さん 「そうですね。 やっぱり、クレヨンで表現できることのお面白さを多くの方に伝えていきたいですね。 クレヨンって、キャンバスに直接描きながら混ぜて色を作ったりするんでよね。 色に色をのせながら独特の色を作ったり、他の画材とも違う質感や色の魅力があるんです。 みなさんも小さい時から馴染みがあるサクラクレパスのクレヨンとかは本当に使いやすいし、いい色が作れるんですよ!」
ーサクラクレパス!! すごい懐かしいです! クレヨンって、渡邉さんのお話を改めて伺うと面白いですね! ちなみにサクレクレパスさんが渡邉さんのスポンサーとかではないですよね?(笑) 宣伝とか?(笑)ー
渡邉さん 「はっはっ、残念ながら、まだスポンサーじゃないんですよ!(笑) それは冗談としまして、本当にこれらも純粋にクレヨンの魅力を表現できるアーティストとして、活動できるように真摯に頑張っていきたいです。」
ー渡邉さんの今後の活動に期待しております! 今回は誠に有難うございました。ー (文・写真 / 荒岡 敬)
撮影協力 『Free port』/ 『Bock』
=クレヨンアーティスト 渡邉菜月 =
1998年生まれ
2017年 米国Moorpark College入学
2023年 東京藝術大学 美術学部絵画科油画専攻 卒業
幼少期から憧れていたアメリカの大学に入学し、その体験や文化が作品に大きく影響している。鑑賞者の想像を掻き立てるコンセプトで、クレヨン画を主に制作しています。公立小学校にイラスト提供、幼児や小学生を対象に絵画の講師を行うなど、子供の発想や感受性を日々追求しています。
主な活動 イラストレーション/絵文字/アイコン化キャラクターデザイン/出版物表紙挿絵/玩具/雑貨コンセプトアート/デジタルイラストレーション
渡邉菜月- インスタグラム-
https://www.instagram.com/natsuki_watanabee?igsh=emdib2tjaGY1aDV2