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専門問9から「積乱雲」とは11/18


第58回気象予報士試験専門問9

問9
日本付近で発生する積乱雲について述べた次の文(a)~(d)の正誤について答えよ。

(a)
成長期において積乱雲が上方にのびていくとき、積乱雲の内部はほぼ上昇流となっており、雲の中の温度はまわりより高くなっている。

(b)
積乱雲が成長期に入り、積乱雲の中に下降流ができると、下降流域の地表面付近では冷気プールが形成され、局所的な高気圧がみられることがある。

(c)
夏季に地表面付近が高温になるとことにより発達する積乱雲では、降水過程に氷粒子が関わらない「暖かい雨」であることが多い。

(d)
積乱雲の雲頂高度が対流圏界面に到達すると、積乱雲の雲頂から流出流と上空の一般風との収束により、かなとこ雲を形成する巻雲は主に風上側に広がる。




まず、
気象庁HPより積乱雲を調べる

積乱雲って どんな雲?


積乱雲は、強い上昇気流によって鉛直方向に著しく発達した雲です。
雲の高さは10キロメートルを超え、時には成層圏まで達することもあります。
夏によく見られる入道雲も積乱雲です。
一つの積乱雲の水平方向の広がりは数キロ~十数キロメートルです。
一つの積乱雲がもたらす現象は、30分~1時間程度で局地的な範囲に限られます。

積乱雲は、「大気の状態が不安定」な気象条件で発生しやすくなります。
「大気の状態が不安定」とは、上空に冷たい空気があり、地上には温められた空気の層がある状態です。
温かい空気は上へと昇り、冷たい空気は下へと降りようとするため対流が起きやすくなります。
地上付近の空気が湿っているときは、さらに大気の状態が不安定となり、積乱雲が発達しやすくなります。


「積乱雲のでき方」の動画へ

積乱雲が発達する様子

この発達する様子の映像は早送り映像ですが、上昇流ってホントに70km/hあるかもしれん、と思える映像でした。

。。。。。。。。。。

解答には少し情報が足りないので他に調べると、、
株式会社フランクリン・ジャパンが運営している
雷について楽しく学んでいただけるウェブサイト
という気象サイトで見つけました。

雷雨をもたらす積乱雲は、複数の上昇流域と複数の下降流域で構成されています。その構成要素であるひとつひとつの上昇流や下降流対流セルまたは単に単一セルと呼んでいます。その直径は5~10kmで、寿命は20~60分程度です。
対流セルは単独で発生しその寿命を終える場合もありますが、通常、発達段階の対流セルがあちこちに発生することの方が多くみられます。

ここで、対流セルの積乱雲がどのように発達して消滅していくのかみていきましょう。


(株)フランクリン・ジャパンより


発達期

カリフラワー状の積雲がモコモコと成長している段階です。

積雲が見え始めたときから、最初の降水が地上に達したときまでの段階をいい、継続時間は10~30分程度です。
この段階では雲の中はすべて上昇流となっています。雲粒が成長して水滴、氷滴(あられ等)が盛んに生成されていますが、雨は降っていません。

雲内の上昇流は毎秒数十cmから数mで、毎秒20m(時速72km)に達することもあるといわれています。


最盛期

上昇流と下降流が共存する時、雷を伴った激しい雨が降ります。

雲の中に上昇流と下降流が共存するのが最盛期です。
積雲が発達していくと雲頂がぼやけて筋状の雲(巻雲)が見られるようになります。この状態から積乱雲といわれ、これが雷雲です。雲頂の巻雲が強い風に流されて水平に拡がりカナトコ状になる積乱雲もあります。
雲頂は-20℃以下となり、水蒸気はほとんどが凝結して雨粒とあられや氷晶の数が増加します。氷晶は互いにくっつき合って大きくなり、やがて雪やあられに成長します。上昇流が強いと、あられはなかなか落下しません。あられや氷晶が上昇下降を繰り返し互いに衝突して電荷を帯びるようになります。このとき電荷の分離が起こり、軽い氷晶はプラスの電荷を帯びて上昇します。-10℃より低温のあられはマイナス、高温のあられはプラスの電荷を帯びて下降します。こうして雲の上部にプラスの電荷、-10℃以下の中層はマイナスの電荷、それより下の層はプラスの電荷に帯電します。(雷のメカニズム)あられ等は落下する途中で溶け、地上では雨が降り出します。それに引きずられるように下降流が生じます。雷も発生し、雨は一段と激しくなり、あられや雹を伴うこともあります。雨粒が蒸発することにより、気化熱を奪われて冷やされた空気は重くなり、下降流はさらに速度を増します。

雲内では下降流域が次第に広がり、冷えた下降流は地面に到達すると周囲へと広がっていきます。この冷気の先端はガストフロントと言われ、ガストフロントの通過後は、冷気に覆われ、気温が急降下するとともに地上気圧は急上昇します。雨が継続するにつれ、下降流域は下層から拡がり、やがて雲全体に広がったときが最盛期の終了です。最盛期の持続時間は15~30分程度で雲頂は十数kmに達することがあります。


衰弱期

上昇流はなくなり、雲は消滅していきます。

下降流が雲全体に拡がり、上昇流がなくなると、衰弱期に入ります。この状態は20分程度続き、雨は弱まりやがて止みます。地上では冷気が遠くまで拡がるため、暖かく湿った空気は冷気によって遮断されて、上昇流、降水もなくなるため、下降流も弱くなります。雲中の気温も外気温とほぼ等しくなり、風も収まり、積乱雲の一生が終わります。


これらを参考に解答していくと、、

(a)について考える。
成長期においては暖かい空気は上昇して積乱雲は発達し、雲内はほぼ上昇流で暖かいので
(a)は正

(b)はわかりにくいですが、下降流が始まるのですから、成長期というより成熟期で、ガストフロント(突風前線)が吹き冷気が暖気を持ち上げる現象のことだと思います。荒木健太郎さんの本「雲の中では何が起こっているのか」で、

ガストフロンントは低温な冷気外出流と、相対的に高温な空気がぶつかることで形成されます。すると、冷気外出流が高温空気を持ち上げます。

荒木健太郎「雲中で何が起こっているのか」

と述べられています。
ほかに、ウィキペディアで、、

雷雨性高気圧(らいうせいこうきあつ)とは、メソハイ(meso high、メソ高気圧)とも言い、積乱雲の下に形成される小規模な高気圧のこと。集中豪雨をもたらす[1]
積乱雲が成熟すると、雲の中で冷たい下降気流が強まるが、その気流は上昇気流に押されて積乱雲の下に溜まる。これを冷気プール(cold pool, cold air pool)という。冷気プールは低温高圧であり、これが雷雨性高気圧である。
冷気プールは、積乱雲の減衰に伴って積乱雲の下に流れ出し、地上にも流れ込む。これを冷気外出流(cold outflow)という。冷気外出流のうち風速の強いものをダウンバーストといい、ダウンバーストが水平流に変わって小規模な前線を形成するとガストフロントとなる。
冷気外出流に伴い、雷雨性高気圧は消えていく。

ウィキペディア

と、このように載っていて上空から冷気が降り上昇流とぶつかってる状態で高気圧になっているのでしょうか。そして、すき間から冷気であるガストフロントが吹き出し温かい空気を持ち上げるイメージなのかもしれません。
(b)は正

(c)の暖かい雨というのは上空まで凍っていない雨粒のことですが、積乱雲のように背が高い雲は温度が低く上空の雨粒は凍っています。
ので
(c)は誤

(d)は積乱雲の背は高く、写真でもわかるように、かなとこ雲が風下に流されてできる。
よって風上ではない。
(d)は誤


気象庁|気象衛星ひまわり (jma.go.jp)

気象庁 | 天気分布予報・地域時系列予報 (jma.go.jp)

おはようございます。天気分布予報を見るかぎりでは、今日はよく晴れそうです。
いかがですか?
ときに、気しないことがいいとは思いますが、そんなことができないから相談するのであって、簡単に言ってほしくない時もありますよね。
気になりますよね。

今朝は特によく晴れています。
いい日にしましょう。
good time!


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