マラソンにおけるベスト体重とは②
体重は少ないほどマラソンのタイムが向上することは統計結果が示した否定できない事実。
しかし、
寝たきりの痩せ細った病人になれば速く走れるようになるわけではない。
下半身の筋肉は多く必要だし、
※多ければ多い程いいわけではない。
骨もトレーニングに耐えうる強度が必要。
一方で、
脂肪は1kgで7000kcalのエネルギーをもたらす。
これは約70kgの男性が100kmを走れるエネルギーに相当する。
※それはつまり100km走っても脂肪は1kgも減らないということ(※糖質も消費するから)
生命維持に必要な脂肪を含めても、フルマラソンやウルトラマラソンを走るにあたって体脂肪率は5%もあれば十分だろう。
エネルギー源を自分で持って走るルールがあったり、数日間で数百kmを走破するようなグレートレースを除いては、レースのために体脂肪を増やしたりレース前やレース中に脂質を補給する必要はない。
※脂質は消化が非常に悪くトラブルの原因にしかならないのでレース中の補給食からは完全に排除すべきだと思う。
以上から大まかに言えば
「体重を減らすとは体脂肪を減らすこと。」
と言える。
体脂肪を減らすうえでの前提となる知識:
・糖質を補給しなければ生命を維持することはできない。
脳は糖でしか活動できず、糖質を補充できなければ脳死する。そのため、血液内の糖質が枯渇すれば、不快感を覚える(ハンガーノック状態)ようにできている。それに抗って活動を続けた場合、脳は最終的に意識を失わせてでも運動を停止させる。
※「脳は糖質でしか活動できない」という基本的構造は長い月日をかけて作られた人間の性質であり、数か月や数年間脂質中心の生活をしても変化しない。
・脂質は糖質がなければ効率よく燃焼できない。(※脂質がガソリンで糖質が着火剤)
脂質は糖質のように素早いエネルギー変換ができず、脂質だけではレースペースで走ることはできない。
ハンガーノック状態(マラソンで言う30kmの壁に当たった状態)での走力しか供給されない。
朝に何も食べなくてもいつも通り快適に走れるという人は脂質だけで活動できる体なのではなく、前夜の糖質摂取が多く、それを睡眠時間内に消化しきれていないだけ。
・低血糖状態での運動習慣は継続率が低い。
根拠:
研究データによれば、朝食前(糖質摂取前)にランニングをする群と朝食後(糖質摂取後)にランニングをする群とでは、前者の方が脂肪の減少は多かったが、継続率が優位に低かった。
→ハンガーノック状態で走ることは脂肪減少には最も効果的だが、長期間継続できる人は少ない。
マラソン終盤の大失速状態を想像してほしい。その体の状況で毎日のようにトレーニングを継続できる人がどれほどいるだろうかという話。