
第2講 プレゼンの基本〜自分自身とアートを語る
月刊美術主催のコンクール「美術新人賞デビュー」の説明会では、コンクールの説明とともに「美大で教えない アーティストになるために磨く武器」と題する講義を行っています。ここでは過去に話した内容を抄録しておきます。
1 プレゼンとは何か
アーティストにとってプレゼンとは、制作観、コンセプト、作品を言葉によって伝えることである。
プレゼンの機会は無数にある
・語る場面
講評会、展覧会場、受賞式
・書く場面
DM・プレスリリース・展覧会図録の挨拶文、ステートメント、雑誌への寄稿、奨学金・レジデンス申請書類、ウェブ・SNS、自伝・芸術論
2 プレゼンはなぜ必要か?
作品は生産、流通、鑑賞されて完結する。それをとり結ぶのは言葉である。特に海外では自分を言葉で表することは必須とされる。
海外で活躍するアーティストが西洋で必要とされるものをそれぞれ指摘
・原雅幸 イギリス10年、スコットランド20年在住の画家
「イギリス人は絵についても言葉で考え、言葉で伝えようとする。いつでも説明が求められる」
・高木公史 ドイツ30年在住の画家
「ドイツではコンセプトを磨いて勝負している。学生どうし、絵描きどうしで切磋琢磨していて、そうでないと勝ち進んでいけない」
・杉本博司 アメリカ留学経験のある写真家・世界的現代アーティスト
「アメリカのアートシーンで重視されるのは論が立つかどうか。そこそこ活躍している日本人アーティストでも論が立つ人は極めて少なかった」
ここで言われている「言葉」「コンセプト」「論」はいずれも同じ。3人とも芸術作品は感情や感覚を引き起こすものではなく、言語化された概念として伝えるものであることを唱えている。
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