第3講 ステートメントを書く 〜思いを語る
月刊美術主催のコンクール「美術新人賞デビュー」の説明会では、コンクールの説明とともに「美大で教えない アーティストになるために磨く武器」と題する講義を行っています。ここでは過去に話した内容を抄録しておきます。
1 ステートメントとは何か
正確にはアーティスト・ステートメントという。
Statementとは「声明、意思表明、主題の提示」の意。アーティスト・ステートメントは、一個の作品ではなく一連の作品群や展覧会全体のテーマやコンセプトをギャラリーや関係者、来場者に伝え、理解を促すのが目的。
自身の創作の根幹の表明なので、一人称で書く。400字程度にまとめるのが基本。制作の意図、実現したいこと、その方法と結果を自分の言葉で説明する。
2 よくある混同
アーティスト・ステートメントは、一人称で語る作家の制作意図であり、作家が主体的に記述する。ひとつの展覧会について作成したり、作品(展示物)群について作成したりする。したがって展覧会ごとに新たに書くことになる。
アーティスト・バイオグラフィーは、三人称で語る作家の歴史。制作活動の記録であり、経歴を記したもの。展覧会ごとに書きかえる必要はないが、キャリアの中で傾向が大きく変わったときや数年ごとに見直したり、提出先に応じて書き換える必要はある。
CV(もしくはresume)は箇条書きの略歴。
上記を混同してる人が多いので注意。
3 ステートメントのよく陥る間違い
・ポエムになっている。
・根拠、論拠を示しながら論理的に書いていない。
・現象(誰でも見てわかること)を書いてしまう。
・自分でも分からない難解な言葉を使っている。
・思考や論理しか書いてない。それがどう作品に投影されているか、その繋がりが分からない。
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