【美術ブックリスト】 『野草』魯迅著
【概要】
『阿Q正伝』『狂人日記』で知られる中国の文豪・魯迅が1925年前後に書いた散文詩を集めた詩集。
国民党政権の言論弾圧下で書いているため、表現が曖昧で象徴的。個々の詩は、現実の事件や出来事から触発されて書かれたようだが、明示されていない。魯迅文学の中でも特に重要なものと言われる。
【感想】
今年のヨコハマトリエンナーレのテーマが「野草 いま、ここに生きる」だったため、記者発表にあたって事前に取り寄せて読んでみた。重く、暗く、意味がとりづらい文で読むのが正直辛かった。トリエンナーレ側は、魯迅以降のこの100年のたくさんの危機を人々はどう乗り越えてきたか、それを表すアートを集めるということだった。今日の午後の記者発表では、中国人のディレクターに、現在も政治的弾圧の危機はあると考えているかを聞いてみたが、直接の答えがなかったのが答えということだろう。
岩波文庫 360円