【美術ブックリスト】『展示の美学』水嶋英治編
イタリア・ゴッピオン社は、美術館などの展示空間、照明デザイン、展示ケース、保存設備などのメーカー。2004 年にはルーブル美術館のモナ・リザのケースも担当した世界的メーカー。過去に手がけた10ヵ国36都市60の博物館・美術館から、展示写真260点余を収録したのが本書。
文字通り世界中の美術館と博物館の実際の展示を撮影した写真を1ページ1点の体裁で掲載。その上に「筆者の詩的感覚名付けた」キーワード、下には『博物館・美術館学用語辞典』(François MAIRESSE編 Dictionnaire de Muséologie, ICOM/Armand Colin)の項目から抜粋した文が掲載されている。
ここまでが概要。
ここからが感想。
ゴッピオン社から提供されたとされる展示写真は美しいので、展示写真集として見るのがいいと思う。上部に掲げられた「静観と傍観」「解釈の連鎖」などの筆者がつけたというキーワードは、余計とまでは言わないけどもあまり効果はないような気がする。下部の辞典の言葉も写真との関連が読み取りづらかった。
ビジュアルブックとしてとてもいいので、キャプションに館名だけでなく、展示室名や作品名まで入れてあるとさらに良かった、と言うのが正直な感想。類書がもっと増えるといいなあ。
272ページ 3600円+税 東京堂出版
まえがき
展示の美学と博物館の保存展示技術(アレッサンドロ・ゴッピオン Alessandro Goppion)
第1章 空間(写真43点余)
第2章 光輝(写真57点余)
第3章 礼拝(写真49点余)
第4章 知創(写真31点余)
第5章 審美(写真47点余)
第6章 秘蔵(写真37点余)
あとがき
用語索引