美術品とは、周囲の反対を押し切って買うもの
最近、美術品の所有権の分散所有によって少額から投資できると謳うウェブサービスが増えてきました。これらは運営者が従来の美術の業者ではない、名称がカタカナである、運営者の顔がみえない、という特徴があります。
バブル時代にも、金融系の企業が同様のサービスを打ち出して資金を集め、アートの専門家と称する人物によって選定された作品を購入して運用する業者が現れました。しかしご存知のように最後にはバブル崩壊で価格が暴落した美術品がたくさんあります。もとは美術品ですから、値段が上がろうが下がろうが美術的な価値は変わらないので、本当にその作品が好きならば問題ないのですが、投資の対象としては不良資産になってしまいました。
最近現れたサービスは、ウェブ上で契約すること、したがって手続きが簡単なこと、現代アートを対象にしていることなど現代的ではありますが、基本的にはバブル時代のものと目的は変わりません。
本来、美術品収集とは、非常に高度な道楽なので、道楽の心得を守らないと痛い目に遭います。それは自分の金、自分の時間、自分の目で作品を集めることです。
美術品とは、人に勧められて買うものではなく、他人にはガラクタにしか見えないものに価値を見出して、周囲の反対を押し切って自分の金で買うものなのです。
2019年12月25日