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寝そべり族マニュアル

藤子です。
ゆるふわ無職さんが書かれた「寝そべり族マニュアル: なるべく働かないで生きていく」という書籍を紹介します。

ミニマリストの亜種:寝そべり族

中国では近年寝そべり族、という生き方が生まれているそうです。
具体的には、「最低限だけ働き、最低限の文化的生活を送る。」という生き方をする人たちのことを意味します。寝そべり族という名前は、火付け役となった「寝そべりは正義だ」というインターネットの書き込みに由来します。

私は二年間仕事をしていないが、何も間違っているとは思わない。節約することによって消費を抑え、お金が無くなれば一年のうち一~二ヶ月だけ仕事をする。普段は家で寝そべり、外で寝そべる。猫や犬のように寝そべる。 ストレスは周囲の人間と自分を比較することや、古い価値観に囚われることによって生まれる。毎日のニュースでは、芸能人の恋愛や妊娠が報道され、まるで見えない何かが皆にプレッシャーを与えているようだ。 この国では個人の主体性を重視する考え方が存在しなかった。ならば、私は自分の為に考え方を作り出す。寝そべることは賢者の行動だ。寝そべっている時だけ、人間は万物の尺度たりえるのだ。

これをミニマリストの先の姿や発展形とするかといえばそうとも言い切れないので、個人的には亜種として受け止めました。

サブスクが「最低限の文化的生活」を快適にした

見出しでほぼ伝わると思うので詳しく書きませんが、そういうことです。
安くても栄養のある食事は手に入れることができるし、無料で面白いものがたくさんある世の中なので、現代で「最低限の文化的生活」というとそこまでストイックな生活を求められなかったりします。

3つの仕事

本書では序盤に、仕事には3種類あると記されています。ライスワーク(食っていくたまえの仕事)とライクワーク(好きでやっている仕事)とライフワーク(もはや働いている感覚のない、自分の使命だと思えるような仕事)の3つです。
そこで著者は「最低限のライスワークとプラスアルファ」という生き方を提案しています。生活費はライスワークで稼いで、空いた時間でライクワークやライフワークを行おうということです。あとの2つだけでは生活できない活動量やマネタイズ力だとしても、アマチュアやセミプロの立ち位置だからこそ自由にのびのびと活動ができるというのが筆者の主張です。

不確実な老後をフルコース料理に例える

「老後に備えるばかりでなく今も楽しもう」という主張は誰でも一度は見たことがあるでしょう。この本では実にしっくり来る例え話で書かれていたので紹介させてください。日以上にわかりやすく、説得力のある表現だと思います。

こんな例え話をしてみよう。僕たちはフルコース料理を食べる為にレストランにやってきた。もちろん、前菜もメインディッシュも堪能するのが正しい楽しみ方である。けれども、なぜか殆どの人々が料理に手を付けようとしない。理由を聞いてみれば、「デザートが食べられなくなってしまうから……」、と言うのである。僕たちは、出てくるかどうかも分からない萎びたデザートの為に、このレストランにやってきたのだろうか。いや、そうではない。今やるべきことは、目の前に出ている料理をしっかり味わうことであるはずだ。心と腹が満たされれば、席を離れることにも執着は生まれない。そんな風に僕は考えている。

宗教や哲学の話


この本では途中、結構なページ数を割いて宗教や哲学に関する話が展開されます。
乱暴に言ってしまえば「ミニマリストがよく言う『足るを知る』の発展形」みたいな内容なのですが、ここまで深く解説するミニマリスト系の書籍ははじめて読みました。

たとえばエピクロスの快楽主義に関する話などは字面だけで誤解されがちですが、実際彼の言う快楽とは「肉体の健康と精神の平穏」を指すことなどが紹介されています。やや難解な部分もありますが、難しく感じる人こそ読むに値するパートだと思います。

まとめ

日本以上の過酷な競争社会と化した中国で生まれた寝そべり族という生き方は、日本でも多くの共感を得られると思います。
ミニマリストほどのストイックさや物理的・精神的にゴリゴリと断捨離を迫ることもないので、意外ととっつきやすい考え方かもしれません。


この本のパンチライン

  • 「最低限のライスワークとプラスアルファ」の生き方

  • 無害な無敵の人になろう

  • 「働かないこと」に執着しすぎるのもよくない。

⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン!

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