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【詩】君が空だった


あの夕焼けを
僕は覚えている
15年は経ったであろう今でも



当時は大人になったつもりでいた
学生が終わろうとする初春



屋上の露天風呂から眺めた夕焼け
彼女も景色を眺めながら
湯船に浸かっている頃だろう



なだらかな山の中腹のホテルで
陽の光を追うように
夜が山肌を撫でていく
山の向こうがまだ明るい



点々とする斜面の灯りに
この旅と
この旅の連れ合いのことを思った



迷わないでと言えなかった
淋しそうな表情に
僕はどれだけ傍に居られただろう
これが最後の旅とも知らずに



君といられる時間がもうなかったことを
あの時の僕は知らない



一番に君を愛せていただろうか
一番に僕を愛してくれたあの子を
今隣に君がいないこと
それが真実だよね



まだ時間のあった夏
離島の海辺で
闇に触れながら仰いだ星空
星の数を全て数えようと思えば
きっと15年くらいなら
簡単に経っていたんじゃないかな
今でも二人並んで
夢見心地で居られたのかな



笑顔はもちろん覚えている
その表情がとても素敵だった



しかし
寂しそうな顔も
痛烈に思い出せる



今あの子が
幸せでありますように
寂しい思いをしていませんように



届けようとしていなかった想いは
届けることのできない想いとなった



あの日の夕焼けを追いかけて
あの山の向こうに行けたら
僕らは今でも一緒にいたのかな






そんなことしなくても
僕が僕の気持ちを伝えてさえいれば
僕らはいつまでも一緒に居ただろうにね



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美郷あきさんの「君が空だった」という曲が大好きです。
アニメで使われた曲だそうですが、僕はそのアニメを観ていません。
しかし、とても好きな曲で、すごく切なくて、僕の経験と照らし合わせて、この曲を僕なりに表現したくて詩にしました。

前奏がすごく切なくて、いつも夕焼けが脳裏をよぎります。

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