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【詩】ヴィンテージ




どれだけ経過したかは
この際考慮しない



どれほど効果があったかは
この際問われてもいいだろう



古くなったものは
新しいものに淘汰されるか



それなら僕の好きなものはなんだ



古くなってもなお
新しいものに喰らいつくのか



それなら僕はあの頃を許容できる



あの日過ごした怠惰な日々を
あの日目にした夕焼けを
あの日感傷に浸った湿った夜を
あの日聴いた音楽を
あの日目にした衝撃を
あの日交わした約束を
あの日抱いた激動を



時は経った
新しくはない
それでも、古くはない



どれだけ経過したって
思い返すほどに新鮮で



色褪せて、
美化されて、
かつての想いが
洗練されて、
今でも僕の胸を打つ
未だに僕の胸に響く
今だから僕に訴える



あのフレーズが
あの夕焼けが
あのさざなみが
あの笑顔が
あの孤独が



どれだけ経過したかは
この際考慮するまでもない



どれほど僕に寄り添ったかを
この際問われるべきだろう



古くなったって
代えがたいものがあるんだよ



新しくても
それが最善ではないんだよ



あの頃にしかないものが
今の僕を動かしているんだよ



流行りよりも求めている
知っているのに欲している
時が経つほどに際立っている
あの時よりも強く胸に響いている
今だからこそ受け取ることができる



古くなったものは
何よりも一緒に共に歩んだものだから



どれだけ良いものが生まれても
共に歩んだもの以上に
良いものなんてないだろう




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