【詩】夏のグラデーション//漸次的移行
陽が傾いたら 迎えに行くよ
影がのびて、怪しい夕映え
茜 紅 赤橙 牡丹
風が止んだら 声をかけるよ
木々がざわつき、寂しい黄昏
菫 茄子紺 紫 紫苑
火照りが冷めたら 隣に並ぶよ
お囃子近づき、終わりの薄明
露草 千草 百群 み空
切なくなるから 右手を出して
提灯連なり、儚い宵闇
群青 紺碧 青藍 碧瑠璃
高揚
幽艶
焦燥
婉麗
落胆
期待は押し殺した
茶化せば終わる
下駄が鳴る
茂みががさつく
虫の音の響き
取り残された電灯
アスファルトの熱気
風が吹き
土の匂い
衣擦れに
息を呑む
吐息を溢す
歩幅は狭く
帰路は長い
下駄が鳴る
沈黙に悟る
願望が顔を出す
立ち止まり
躊躇して焦れる
気配
左を向く
視線が合う
渇いて掠れる
目を瞬く
頬の紅さ
不安の中の微笑
手が離せない
力を込める
力が込められる
茶化すわけにはいかない
唾液を飲む
沈黙を破る。