【詩】夏の多彩なアオ
8月も残すところ
あと1週間となった
台風が勢いを少しずつ増して
近づきつつある快晴の酷暑
ベランダにたなびく洗濯物が揺れる
ジーーーっと空間を揺るがす蝉
それに呼応する蜃気楼
夏の余韻ともいえる日曜日
暦から感じているわけではない
空気が少し、初夏にも似ている
この昼間に飲むビールが
懐かしさを誘う
まだうっすらと
それでも幾分鮮明な
20年前の部活を思う
ちょうど20年前
僕は何を思って
体育館でラケットを振っていただろう
カコンカコンと軽量な
球が飛び交う打球音は
今でも耳の奥底で
残響となってこびりついている
隣のバレーボール部の
スパイクのずっしりとした音とは異なり
いくつもの高い音が
8台の卓上に響いていた
部活帰りに見た入道雲
その昔と同じように
暑さに呼応するかのように
空の果てに届くかのように
層を重ねて積み上がっていく
何度も表現した夏なのに
何度でも表現したいのが夏だ
だから夏が好きだ
夏なんて暑いだけだろうか
一番に色彩豊かなのが夏だ
だから夏が好きだ
空の青は、なんとも果てがなく
海の碧は、なんとも奥深い
森の緑は、なんとも輝かしく
風の色は、なんとも多彩だ
肌を焦がす太陽の輝き
少しずつ遠ざかっていく暑さなのに
それでも蘇り心を焦がす
少しずつ遠ざかっていく記憶なのに
それでも蘇り心を焦がす
少しずつ遠ざかっていく想いなのに
それでも蘇り心を焦がす
この夏も少しずつ遠ざかるけれど
何度でも蘇り心を焦がすのだろう
寄せては返す
だから夏が好きだ