しばらく、お客様が途切れた合間に、「三途の川」を渡ってきました。今日は、意外にすいてました。 川のほとりにある、いつもの鯛焼き屋の店員さんが、次のような話を聴かせてくれました。 店員さんは、30歳台で、元は自衛隊員でした。彼の言葉では、元気さ余って体育会のノリで入隊しました。しばらくして、お国の為にという崇高な目的などについて、志の高い上官の言葉に刺激され、考えることがありました。ただ、それも勢いで、あまり実感を伴って考えてはなかったそうです。 3年目の時に、読書好
外来が忙しくなりました。 少子化を心配する優秀な大学の先生と、そんな悠長なこと言ってられないと日々の暮らしに奮闘するシングルマザー。色々な恋の形があります。 こんがらがっている日本の欲望。 狭い診察室で、私に話すより、もっと自由に恋愛して、想像力を広げてください、と言いたくなります。 ぐっとこらえて、聴かせて頂く立場に徹しました。 拝聴していると、空間軸、時間軸で考えた方がいいのか、もう少し絞って、「恋愛忌避」を詩的に考えた方がいいのかと迷います。 例えば、島国だ
芸能人の自死の話をされる方が続いた。 「悲しいけど、あんなふうに死ねない私にも嫌になってしまって」 「うん、うん」と聴きながら、自殺前の心理、落ち込んでるときに、吸い込まれていくように、死ぬことが、迫る状況について、なるべく負担にならない言葉を選びながら伝えた。 反応を受け止めつつ、深刻さ、切迫感など測っていた。 ふと力の抜けた表情になり、 「死にたい、という話ばかり聴いてるのも辛いですよね」 と、気を遣ってくれる。 彼女は40歳台半ばで、子育ても一段落し、不全感、空虚
しばらくは、科学のキラキラ感をまぶしながら、ぐいぐい語る人たちに付き合っていことも、疲れ気味でした。 そうは言っても、現代社会を自分なりの価値観で生き抜きたいものです。 担当医 「アルゴリズムもロジックも限界には沼地があります。」 患者さん 「今どき、そんなこと言っても、効かない薬ばかり出す貴方が勉強不足でしょうよ。」 担当医 「うーん、勉強不足でもあるけど、効かないのは運でもあって。臨床は沼地のように、底なしだし、人間って不完全で、それほど、同じじゃないし、強くないけ
力動的精神療法、精神分析の魅力に、治療者の側に生じた感情を理解して治療に生かす、ということがあります。 この理解を支えているテクニカルな側面、幼少期からの発育、母子関係、エディプスなど基本的な関係を想像し、連想していく過程があります。 当初はそのテクニカルな面に無我夢中でした。 しかし、ある時期から、その側面を支える関心の源泉にも倫理的な方向性や基盤があるのではないかと感じるようになりました。 フロイトの無神論に対する情熱や執着は、その倫理的な方向性を特定の思想に影響
紆余曲折の末、やっと観葉植物を置きました。 精神科医として十数年以上が経ちました。大学院が終わり、コーヒーではじまり、夢をみるような修行のトンネルを抜けました。その中で、自分なりに精神療法における、研究課題を決めました。その後、様々なすれ違いがありました。 この地域に来て、一つの職場を離れ、二つ目も墜落し、三つ目の予定していた職場は、破談となり、波間を漂う感じで流れ着いた職場です。 どうか臨床と研究の歯車が噛み合い、患者さんに多少なりとも貢献できますようにと思いま