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33 老兵の背中を見ない
恩師を「老害」と感じるようになってしまい、そんなことを誰かに言えるはずもなく、悩みに悩んで始めたnote。
この恩師も最近は連絡をよこさなくなり、共通の知人に「若い人は忙しい。みんな冷たくなって寂しい」とこぼしていたらしい。自分もその一人かと思うと胸が痛くなる。
しかしもう連絡は取りたくない。先生が悪いのではない。多分どういう接し方をされても、こちらの受け取り方が悪いから関係は悪化する一方だろう。
今までなんでも受け入れてきた先生からの頼みを断ろうと決めたとき、もう先生の葬儀に出られなくても仕方ないと覚悟した。周囲から恩知らずな奴だと思われてもいいと思った。
先生が現役だった時代にされて嫌だったこと
・趣味の外出(ジャズ、落語、ワインバーなど)に付き合わされる
・研究会の後で必ず飲みに誘われる
・学振の申請書作成や論文のリバイズが終わっていないからと断っても「そんなの大丈夫」と押し切ってくる
・友人と会う約束があるからと断っても「うるさい先生に捕まって約束に遅れると連絡しなさい」とその場で電話をかけさせる
・決死の覚悟で誘いを断ると「こういう交流も研究者には大事だ」と諭してくる
・共著で書籍を出版するからと言われて論文を書いたが出版に至らないことが三回あった
・三回ともこちらから尋ねるまでは出版が流れたという報告がなく、塩漬けされる間に論文のデータが古くなってしまった
この先生は自分の指導教授ではなく、直接の利害関係はなかった。それなのに、なぜこれほどまでに断ることができなかったのか。自分の気の弱さもあるが、とにかく保身のためだった。
大学教員の公募では、「同業者からの推薦書二通」や「申請者について尋ねることのできる二名の連絡先」を求められることがある。そのとき先生に頼りたいという下心があったから、誘いを無碍に出来なかったのだと思う。
あとは非常勤講師の口を紹介してもらえるかもとか、反対に自分が非常勤講師を探すときに誰か紹介してもらえるかもしれないという打算もあった。
当時は純粋に先生を尊敬しているつもりだったが、今思えば、先生の権力に尻尾を振っていただけだった。それを尊敬と思い込んでいた。
もう先生に対してあれこれ考えるのは止めよう。もう十分悩んだ。
それよりも、権力を持つ側になった自分が院生や公募戦士にどう接するべきなのかを考えることにしたい。