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ロマンチックなパリとアメリカンなハッピーエンド思考
Netflixの「エミリー、パリへ行く」season1(全10話)を見ました。
「アメリカ人の主人公がフランスの会社に転勤になるんだけど、フランス語喋れないから意地悪されるのね。でも翻訳アプリ使って“くたばれ”とか言い返すんだよ、面白いでしょう」
っていう友達からのプレゼンを聞いて「へー!面白そう!」って思ってなんとなく見始めたらハマってしまった。 友達、私の心を掴むのが上手い。
重くなくて簡単なストーリー、サラッと見れる。1話30分だからスイスイ行くし、気づいたら10話見終えちゃう。
このドラマを観ていたら、改めてアメリカ人とフランス人の違いが浮き彫りになっててなんだかすごく興味深かった。
どうでも良いけど邦題よりも圧倒的に原題の「Emily in Paris」が好きだから、そう呼んでる。
○文化も生き様も違うけど、正直性格は似てるよね
「アメリカ人ってこう」「フランス人ってこう」みたいなと各々のイメージはあるけど、両者が面と向かって絡む作品を観るのは多分初めてで新鮮だった。
アメリカの映画もフランスの映画も結構観たことがあるけれど、両者を対面させるとここまでモメるのかっていう。
「Emily in Paris」を観てすごく感じたのは、アメリカ人(エミリー)、フランス人(エミリー以外の人々)、この2タイプ、性格は似てるのに考え方が思いっきり違うんだな〜ということ。(あえてそういう風に描いてるんだろうけど)
似てると思ったところは、どちらも譲らないところ。自分の考えは簡単には曲げないし、どっちも相手の話あんまり聞いてないよな。
日本人がそこら辺丁寧過ぎるっていうのもあるけど。相手の話をまず聞こうとか、譲り合う精神とか、私たちは当たり前に思ってるけど世界から見たら日本人がおかしいって事は理解している。
それにしてもこのドラマの登場人物は「自国がNo. 1☝🏻」って思ってる人大集合〜!って感じがして面白かったしそこが良かった。個人的にに気の強いヒロインが好きだし。
そして「フランス人は意地悪」ってよく聞くけど、このドラマで1番意地悪に描かれているシルヴィーですら、私はそこまで意地悪とは思わなかったな。
頑固で気難しくて言い方はキツいけど、曲がったことはして無いし、間違った事も言ってないし。エミリーがどんなに気に入らなくても決して無視しないし。
他の同僚達も、意地悪ってことは無かったな。でも”上司のシルヴィーの指示”>>>>”同僚のエミリー”って感じで、「自分は守りつつ余裕の分だけ優しくする」のがフランス流なのかなと勝手に思った。それは自分のご機嫌を何よりも大事にしてる私とやってる事は同じだから分かる。人間らしくて良いよね。(自己肯定感高)
実際去年パリに行った時も、フランス人は意地悪って聞いてたのに嘘だったなって思った。特に女性が優しかった気がする。
英語もフランス語も喋れない私がスタバで注文する時に助けてくれたり、メトロの駅の階段でスーツケース持つのを手伝ってくれたり。どちらも助けてくれたのは女性だった。
イタリアでは男の人は積極的に助けてくれたけど女の人はマジで冷たかったから(空港のカウンターの女の人とかね)、なんとなく比べてしまってフランス人女性の印象が良い。愛想は良くないけど芯があって上品で優しいイメージ。あとみんな良い匂いがする。
対してアメリカ人のエミリーは、未踏の地パリでも絶対に自分をブラさないし、SNSで自分の生活ぶりをガンガン発信するし、私生活でも仕事でもデカい声で英語でプレゼンするし、正にアメリカ人〜!って感じ。パワフルで好き。特にエミリーはチャーミングで嫌味も無くて好き。
フランス人が「娯楽の無い人生なんて有り得ん」とタバコをバカスカ吸うのに対して健康の為に朝からランニングするアメリカ人。
「仕事がハードになると思うと怖いんだ」と嘆くフランス人と家でも仕事をバリバリしちゃうアメリカ人。
「フランス人は生きるために働くけど、
アメリカ人は働くために生きてる。
君は本当の幸せを知らないんだね」
フランス人の同僚のこんな台詞はまさにアメリカ人とフランス人の”らしさ”を表してるなぁと思ったし、幸せの概念もまるで違うんだなあとわかりやすい。
アメリカ人のエミリーは何を言われても全然へこたれないし泣かないし一旦受け止めたフリして言い返す。フランス人達は「エミリーがアメリカ人だから」という理由で許したり気遣ったり多めにみたりする事も絶対にしない。
各々が対等で、決してネチネチしない言い合いをしながら、少しずつ前進していくストーリーがとても良かった。
○どちらも性に対して衝動的過ぎるな
これは日本人だからこそどうしても思ってしまうんだろうけど、アメリカ人もフランス人も性に対して隠さな過ぎるな。
だってだって、30分✖️10話の中で、エミリー何人と寝たよ??
我々日本人がちまちまとマッチングアプリで恋人探ししてる間に、エミリーは何人とキスして何人と寝たと思う??
対するフランス人達も、不倫も浮気も当たり前だし、会議中に「アイツとヤッただろ」とか平気で言うし、なんならヤッたかヤッてないかで話進める。取引先と普通に関係持ってるし、不倫はバレてるし。日本で同じことしたら大問題なんですけど。
性に対してオープンで衝動的なところは両者似てると思ったけど、でも、同じではない。
ドラマでも言っていたけど、「永遠を求めるかどうか」みたいな、結構大切な価値観で違いが出る。
何度か記事にも書いているけど、作品に関して私は超ハッピーエンド派で、ハッピーエンドじゃない話は「終わり方が好きじゃない」ってどうしても思ってしまうところがある。つまり、フランス映画の終わり方は大抵あんまり好きじゃない。
フランス映画の終わり方って主人公同士が別れて別の誰かと歩み始める事がすごく多い。
あんなに愛し合って喧嘩して2人でいろんな事を乗り越えてきたのに、すれ違い始めたらあっさり別れて別のパートナーと幸せになりまーす!みたいな。
だから私は「アデル、ブルーは熱い色」も「君の名前で僕を呼んで」も「シェルブールの雨傘」もウディ・アレンの作品も、終わりが苦しくて「もう一度観たい」とは悪いけど思えない。
だけどフランス映画はこうって分かってるのに観てしまうのは、それがめちゃくちゃに美しくて綺麗で心が揺れるから。結局観ちゃう自分がいる。
これがフランス流の愛で、美しいものと定義されてるんだと思う。そしてフランス人は特に現実主義だ。一生一緒にいることなんかより、別れがある方がずっと現実的で、その現実を何より美だと思ってるんじゃないかな。
対してアメリカの作品は何でもかんでもハッピーエンドに向かっていく。悪く言えば終わり方がわかる。(まあフランス映画も終わり方わかるけど。)
marvelとかのヒーロー達は絶対に悪を倒すし、ラブストーリーはちゃんと主人公同士がくっついて幸せになる。結婚する時は「死ぬまで一緒にいようね」と派手に約束を交わす。だからこそ、パートナーが浮気や不倫をしようものならこの世の終わりのように騒ぎ立てるのだ。そっちの方が理解出来るけどね。そういう描写が多いのがアメリカ映画な気がする。
つまりアメリカは「永遠を求める」理想主義だし、フランスは「永遠なんてぶっちゃけ無くね?」な現実主義なのだ。「愛」に対しての考え方が根本的に違う。
ドラマの中で、フランス人のリュックの「現実が良いんだ」的なセリフは私が見てきたフランス映画の多くを思い出させた。ヒーロー物やロマンチックでハッピーエンドのアメリカ映画に比べて、フランス映画はどれも平凡な誰かの日常を感情豊かに描いただけ、みたいなのが多い。それをわざわざ作品にするのがフランス流なんだね。
自分の変化に合わせてパートナーが変わっていくことを否定しない、その現実を美とするフランス人。
「結婚相手だって100%の関係とは限らない」
みたいな事、絶賛不倫相手側のシルヴィーが言ってたな。そりゃ不倫も堂々とするのかもな。妻側も理解してたのは見慣れなくて不思議だったけど。
○パリってやっぱり素敵な街だよね
アメリカ人とフランス人の違いがどうこう言ったけど、結局のところ「あーーーーーーパリに行きたい!!!!」ってなるのがこのドラマの最大のポイントだった。
去年行ったあらゆる観光地がしっかり出てきて懐かしい気持ちにもなるし、わかるからこそまた行きたい気持ちが溢れ出てくる。
パリの雰囲気ってどうしてこうもロマンチックなんだろうか。そりゃ衝動的に恋もするかぁ。
パリに行った時は「てかイタリアに似てるね」とか言ってたし、ヨーロッパってみんなこうなんだろうなとか思ってたけど、
作品になるとパリという街の存在感ってレベルが違う。「ミッドナイト・イン・パリ」も「アメリ」を観た時も思ったんだった。忘れてた。
話題のエミリーのファッションはもちろん可愛くて堪らないのだけど、それを際立たせるのは間違い無くロマンチックなパリの街並み。パリ最強。
ここで沢山の芸術家が生まれるのも無理はないよなあ。逆に芸術家が沢山いたからこうなったのかなあ。もうどっちでも良いや。
とにかくコロナが始まって以降、多分今が1番海外に行きたい。完全にドラマのせいだ。
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色々国民性とか偉そうに書いてしまったんだけど、どっちが好きとか嫌いとかは無くて、とにかくこんなにわかりやすく表現されてることが珍しくて面白いなあと思ってしまった。
ストーリーはアメリカ的でパワフルで爽快だけど、ビジュアルはパリの上品でロマンチックな景色を存分に味わえる。超良いとこ取りドラマ。
「Emily in Paris」すごくオススメです♡season2が待ちきれない。ぜひ観てください!
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