
29歳になりまして
先日、29歳の誕生日を迎えた。
29歳というと、20代ラストの節目の一歩手前。
絶妙な年齢だなと思う。
絶妙、という言い方が合っているかはわからないけれど、多くの人にとって20代は「花の時代」と言われたりするし、
たしかに変化が多く、わからないことにも飛び込んでいける勇気があったり、逆に周りと比べて落ち込んだりする世代なのかもしれない。
20代前半は特にそうだった。
自分の横を並走している人をものすごく意識して、誰がどこまで行っているのか、どのくらい先を走っているのか、後ろにいるのか、そんなことがどうしても気になった。
優劣なんてないと知りながらも、優ばかり求めて、劣を恐れてた。
だけど、そもそも20年ちょっと生きただけの人間同士、大きな差なんてつくものなのだろうかとも思う。
もちろん圧倒的な才能や環境の違いはあるけれど、考え方ややり方次第で、同じように並走することもできる。
だからこそ、劣等感を抱いたり、焦ったり、どうしても複雑な気持ちになってしまう年齢だった。
とはいえ、20歳と29歳はまったく別の生き物なのは分かってた。
30歳と39歳だってきっとそうなのだろうけど、20代はとにかく複雑で、難しくて、振り返ってみると「なんだったんだあの時間は」と思うことも多い。
まだ30歳にはなっていないから、「20代でやるべきこと」を語る権利はないけれど、
最後の1年を迎える節目に、これまでの20代を少し振り返ってみる。
20歳の私と、今の私
20歳のときと比べて、当たり前なのか当たり前じゃないのか、今の私はとてつもなく変化している。
正直、20歳のときに持っていたものは、ほとんど手放した。
「失った」ではなく、「卒業した」というほうが正しいのかもしれない。
当時は専門学校生の真っ只中で、体力とガッツだけはあった。
あの頃の「とにかく食らいついてやる!」みたいな思考は、今もまったく持っていないわけではないけれど、
あの時の「何も考えてなさ」はもうない。
バイトして、課題に追われて、友達とゲラゲラ笑いながら徹夜して、それこそが青春だったなと思う。
だけど、今はもうあの全力疾走感はない。むしろ、無理をしない選択をするようになった。
どれが無理で、どれが無理じゃないのか。
それを見極める力がついた。
徹夜は絶対にしないし、ご飯を食べすぎたら次の日はセーブするし、体調が悪いなと思ったら早めに休む。
それができる環境に絶対身を置くし、整える力もついた。
無理をしないことは、怠けることではなく、自分の人生を大切にすることなのだと知った。
だからこそ健康的な自分がここにいる。
家族との向き合い方の変化
一番大きく変わったのは、住んでいる場所と、一緒にいる家族。
20代前半は実家暮らしで、母、父、妹、おばあちゃんと一緒に過ごしていた。
だけど今は、一人で生活できるだけのスキルを身につけ、結婚し、旦那と二人で暮らしている。
変わらないのは「家族といる時間は穏やかだ」ということ。
でも、家族に対する価値観は大きく変わった。
もともといた家族は、自分が望んで選んだわけではない。ただ生まれてきて、気づいたらその家族の一員だった。
でも、今一緒にいる家族は、自分が選び、作り上げた場所。
だからこそ、そこには責任感が生まれるし、この環境を大切にしたいと思う。
家族のあり方は人それぞれだけれど、「どれだけ穏やかで幸せな空間を維持できるか」は、お互いの努力と人間力次第なのだと思う。
それは、大袈裟に言えば人生をかけた挑戦でもある。
仕事、キャリア、夢のこと
20歳の頃、「洋服のデザイナーになりたい」と願っていた自分は、今の私を見たら「すごいじゃん!」と褒めてくれると思う。
あの頃、夢中で目指していたデザイナーという仕事は、今の私の当たり前になった。
デザイナーになってから1000着以上の洋服を生み出した。
誰かに届ける経験をした。街中で自分の作った服を着ている人を何度も見かけた。もちろん失敗もしたし、思い通りにいかなかったこともあった。
夢を叶えることとお金を稼ぐことは同じじゃないことも知った。
たくさんのスキルを身につけ、たくさんの壁を乗り越えて、まだまだだとも思ってる。
でも、デザイナーである自分に価値を感じてるわけでもない。
これから先、30代になったらどんな選択をするのかはまだわからない。
だけど、「未来の自分、よろしく〜🖐️」と思えるくらいの自信がある。
キャリアは人それぞれで、正解もない。
だけど、自分がしたいことをどう実現するのか、その方法を20代のうちに何度も考え、試し、挑戦してきた。
だからこそ、未来が楽しみだと思える。
友人のこと
たったひとつだけ「全然変わってないな」と思うことは友人のメンバー。
もちろん友達や仲のいい先輩後輩もいるけど、定期的に会う友人の顔ぶれは9割変わっていない。
友人が変わるのは自分のライフステージや趣味嗜好が変わる証拠で当たり前のこと、とは思ってたけど
一緒に変わってきてるのか変わらないのか、友人だけは全然変わらない(笑)
でもなんの不満もないし、むしろ今でも不思議なくらいにみんな大好き。
周りの環境に感謝しながら、でも無理しない人付き合いをしていきたい。
物腰柔らかく、生きていく
専門学校を卒業する時、先生が言ってくれた「あなたの物腰の柔らかさは素敵」という言葉は、今でもずっと心に残っている。
私はこれからも、そういう人でいたい。努力というよりも、楽しみながら成長し、芯もありながら柔らかくステップアップしていく。
20代ラスト。
この最後の1年をどう過ごすのか、どんな時間を積み重ねるのか。
楽しみにしながら、生きていきたい。