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石破茂の誠実公正の限界

自民党総裁選は石破さんの勝利で終わった。順当無難な結果です。

筆者は9人の候補をドングリの背比べと見ました。いずれもドングリならファシズム気質の高市さんの目もあっていいとさえ思ったりしました。

高市さん選出なら、少なくとも日本の諸悪の根源「男尊女卑」精神に一撃が加えられるからです。それは、無いよりはあったほうが確実に日本のためになるイベントです。

筆者は石破さんには多くを期待しません。彼の口癖である公正、誠実、且つ謙虚で丁寧な政治なるものが、薄っぺらなキャッチコピーに過ぎないことを知っているからです。

石破さんは2018年、故安倍さんと戦った総裁選で、47都道府県に向けたビデオメッセージを作りました。その中で「沖縄に基地が集中している理由について:

反米基地運動の拡大を恐れた日米両政府が1950年代、当時日本から切り離されていた沖縄に、山梨や岐阜にあった海兵隊司令部を含む海兵隊部隊を押し付けたからだ」と真実を語りました。

国土の1%にも満たない小さな沖縄には、日本国全体の安全保障を担う米軍基地が全体のおよそ70%以上置かれ、地元は基地被害に苦しんでいます。

それは余りにも不公平だ。負担を減らして欲しいという沖縄のまっとうな訴えは、安全保障の意味も民主主義の精神もあずかり知らない国民の無関心によってひたすら否定されます。

それはまたネトウヨヘイト系差別主義者らの「沖縄は補償金欲しさに基地反対を叫んでいる」という偽りの誹謗中傷まで呼んで、沖縄はいよいよ貶められ侮辱され続けています。

国民の気分を熟知している政府はそれを巧みに利用して、口先だけの基地負担軽減を言いながら、イスラエルによるガザ弾圧よろしく辺野古を蹂躙しています。

いわゆる構造的沖縄差別です。

石破さんはかつて、政府の要人として初めて沖縄の米軍基地問題の核心を語り、総裁になった暁には是正に奔走すると示唆しました。

だが彼は、沖縄を植民地状態のまま利用しようと企む自民党内の反動的な力に負けて、卑怯「不誠実」にもそのビデオメッセージをあっさりと削除しほっかむりを決め込みました。

つまり彼の言う「公正 誠実、且つ謙虚で丁寧な政治」とは、飽くまでも多数派に向けてのスローガンであり、弱者は切り捨てても構わないという、強権指向に満ちた偽善に見えます。

一事が万事です。

今このときは、とてもそんな政治家に期待をする気にはなりません。

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