退職(しなかった)エントリー
はじめに1
今回、本当に転職するつもりで、転職活動中に、これまでの現職での思い出がよみがえってくることがあったので転職活動の合間に書き溜めていました。
しかし、最終的には現職に残ることを決意しました。
ただ、せっかく書き溜めたというのと、転職か現職かで揺れている人に”退職しなかった人の意見”として少しでも参考になればと思い公開するに至りました。
ぼく自身、本当にゆれにゆれました。
今回の決断が良いものになるかどうかはこの先にならないとわかりませんが、良いものになるかどうかは自分次第ということもあると思います。
あと、近いうちに実は転職している可能性もあるかもしれません笑
はじめに2
17年も勤めた会社を本気で辞めようと思ったので退職エントリーってものを書いてみようかと思いました。
これまで新卒から
食品スーパーマーケット:2年
部品メーカーの生産管理:1年
零細企業でのテスト業務:3年半
で
今の会社では17年もいることになりました。
これまでは長くても3年半しか続かなかったぼくが、これほどまでによく続いたと思うし、それだけ良い会社だったと思うし、居心地の良い会社だったんだと思う。
ちゃんと残業代つくし、賞与もあるし。
でも最近はだんだんギャップを感じて、だんだんと心が離れていきました。
転職したいと思った理由
プロジェクトの改善活動で何か有効な手を1つ打てばいいことはないし、
メトリクスも何か1つ取ればすべてわかるような魔法のようなメトリクスがないのと同じように(同じか??)転職を決意するにもたった1つの理由ってことはないです。
しかしながら、自分の会心の仕事と会社への貢献にギャップを感じたのが転職をしたいと思った大きな理由になります。
さらにそのギャップを感じたきっかけというものもあり、
それは最近、武勇伝のように何かあるたびに例を出すやつなのですが、あるテストプロジェクトで、テスト開始1週間でリリース予定日にリリースできるほどの品質には到達できないと提言したことでした。
QCDを考慮した最適な提言で、最近の自分の仕事の中ではプロダクト開発に関わる人たちに大きく貢献できたといった意味では会心の仕事だったと思っています。
(もしかすると普段からQAエンジニアとして活躍されている方にとってはそれはごく普通のことなのかもしれませんが。。。)
この提言によって、実際にリリースが2ヶ月延期となりました。
この時点でリリースの延期が決定したことで、
関係部署(ビジネスやマーケティング、営業など)も含めて2ヶ月前から延期のための準備を促すことができました。
もちろん私の提言からリリース延期を決断された方々が本来の意味での正しく”英断”だったのですが、そのきっかけを作れたのは私の提言だったと思っています。
これによりお客さん初め関係者には多大な貢献をしたと思います。
しかしこれが自社の貢献にはなりませんでした。
プロジェクトの貢献が自社の貢献につながらない
プロジェクトに貢献したのになぜ自社への貢献にはつながらないのでしょうか。
それは、早期にリリース延期になったことで
自社にとっては人も増やさず、残業もしなかったからでした。
例えば、もし、リリース延期の提言をしなかった場合、
自社としては元々のリリース予定日に間に合わすために増員や残業でひたすらバグとテストケースの消化に邁進していたことでしょう。
かつ、その状態で進めていてリリース予定日直前になってリリースできないことがわかり、結果、その増員した状態で契約の延長につながっていたことだと思います。
つまりリリース延期の提言をしなければ自社に多大な貢献をすることになっていたはずでした。
きっと私の自社での評価も上がり会社での表彰もされたかもしれない。
実際、お客さんから営業を通じて非常に感謝されたことで表彰の候補になっていました。
しかし、結果的には増員や残業をしなかったことで、私の評価はそこそこで、表彰もされませんでした。
今の会社に入った時
17年前の2006年6月に今の会社に入社しました。
前職では残業代がつかない、賞与もないような零細企業でテスト業務をおこなっていました。
お金の面でももちろん苦しかったのですが、その時の職場ではテストに関して議論できないということも苦しかったです。
周りは、テストをやりたいからやっているわけではなくただその仕事についたからテストをやっているような人たちでした。テストだけで多い時には100名近くいたにもかかわらず。
もちろんテストに関して勉強するような人はいませんでした。
当時はテストに対して勉強するほど書籍もなかったということもあるかもしれません。
ただ、唯一、ユーザ企業さんの中にある書籍の翻訳メンバーだった人がいて、この方とだけはテストについて語ることができました。
また、その方と直交表のやり方や普及について進めたことがとても面白くやりがいを感じていました。
そんな中、今の会社に入社して(テスト会社にくると当たり前かもしれないけれど)テストの議論ができるのが何よりも幸せでした。
テスト会社にいると先輩にすごい人がいました。
社内では当たり前のようにテストに関する研修が開催され、
テストに関するワーキンググループのようなものも発足され、
私は可能な限り参加していました。
研究会という名の(実際には自分達の取り組みを発表してそれを大学の先生方に意見してもらう)場もありました。
そこにもも参加して、自分でも発表したりして
久米先生、中條先生、飯塚先生、にしさんに教えをこうむることができました。
尊敬できる優秀な後輩たちも入ってきましたし、
業界でも有名な人たちがキャリア入社で入ってきました。
また、自分自身もその社内で目立つようになってました。
ぼくはこの会社では非常に運が良かったのだと思います。
まだ、小さな西の方の組織に8人目として入りました。
テストの知識といった意味では弱い部署にいたので西におけるテスト知識がある人として会社全体として知名度が上がるのが早かったように思います。
西ではぼく、というようなイメージがつきました。
これが東日本の部署だとぼくぐらいの人材は数多くいたので目立たなかったかもしれません。
ぼくが入社して以降は一気に西でも人が増えましたし、
入社するタイミングと所属部署の運があったと思います。
しかし、いつしか、
すごい先輩や尊敬できる先輩、著名な方々は研究やバックアップするほうに行ってしまいました。
一方、現場ではレガシーなやり方を続けている人が多かったですし、
現場では相変わらず(暗黙的に)残業が賞賛されていました。
お客さんは品質やテストを求めているのに現場では品質を語れない人をテスト会社から派遣するようなことも出てきました。
品質に関して、テストに関して、社内で議論することはほとんどなくなりました
なにやら最後の方は会社のせいにしているような文脈になってしまいましたが、決してそうではありません。
会社のビジネスモデルとして致し方ない部分が多分にあると思っていますし、
何よりもぼく自身がもっとQAとして成長したいと思うようになったというのが一番の理由です。
その場合に今の会社だと存分にやっていけないと思った、ということです。
本当の意味で品質に向き合いたいと思うようになった
さいごに
17年も勤めた会社を辞めようと思うのは正直さみしいです。
関わった方々と別れるのはさみしいです。
しかしながら”会社”という大きな流れ、ビジネスモデルと自分自身とのギャップが大きくなり、このまま居続けても双方にとってよくないと思いました。
これまでかかわった方々とはこれからもどこかで合うでしょうし、
この会社で得たスキルや知識、経験は必ずや次の仕事でも生かしていく所存です。
その後
と、ここまで書いておいて、最終的には転職しませんでした。
実際に転職活動もしておりありがたく内定をいただくこともできましたが現職に残ることを決意しました。
残った理由としては、最終的には転職する決定打がなかったということでしょうか。
決定打がないとは、内定をいただいた企業さんに絶対に行きたいという決定打がなかった、現職を絶対にやめたいという決定打がなかったということです。
内定をいただいた企業さんはお会いした方の人柄も魅力的でしたし、ゼロからQA部隊を作り上げていくという仕事内容も魅力的でした。プロダクトも今後の可能性のある非常に魅力的なプロダクトでした。
しかし、この会社に絶対行きたい、というものがなかったということも事実でした。何がなんでも行きたいのか、できれば行きたいのか、の違いでしょうか。
現職についても、ビジネスモデルと自分の理想とのギャップに苦しんでいましたが、周りにいる人たちの人柄やそのビジネスモデルの中での自分のやれること、周りにいる人から必要と感じてもらっていること、あと福利厚生を含む給与面などを考えるとこの会社に自分はいられないというほどの決定打がありませんでした。きっと異動がなければこの会社にはいられないというほどの決定打になっていたと思います。
内定先に行きたいという度合い≒現職を辞めたい
という度合いだったのだと思います。
これが
内定先に行きたいという度合い>現職を辞めたいという度合い
となったときに転職を決意するのだと思います。
そしてやはり今の会社でぼくを必要としてくれる人がいてその部署に異動になったというのが決定打にならなかった理由の一つなのだと思います。
あと、妻の助言もありました。
なんだかんだで自分よりも自分のことを知ってくれている妻が現職に留まることを勧めてくれました。
とはいえ、やはり一番大きいのはぼくを必要としてくれる人が今の会社にもまだいたということです。そしてそこで自分も役立てそうだな、会社にも違った形で貢献できそうだな、と思いました。
結局は、社内外問わず自分を必要としてくれているかどうかが決め手になるのだと思います。
ぼくの場合は、幸運にも今の会社のある部署で必要とされていなかったけど、今の会社の他の部署で必要とされました。
他の会社でもぼくを必要としてくれていたのは本当にありがたかったですし、結論を出すまでに1ヶ月もの期間を設けてくださったことは本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
これまでの人生で一番迷ったかもしれません。
大変、感謝しているとともに期待にさえられず申し訳ない気持ちでいっぱいです。
転職するかどうか悩んだときに思ったこと
事業会社であろうが、テスト会社であろうが、
プロダクトの質を上げる、
品質の視点でプロダクトの価値を上げる、
という本質は変わらないし、
変わってはいけないということはわかりました。
ただ、テスト会社にいるとそこを忘れがちになってしまう、
ビジネスといった視点では少し違った考え方も必要というだけで
自分自身も自分に関わる事柄に対してもそこを忘れなければどの場所にいようがやれることは一緒(のはず)だと思います。
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