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就活ルールについて思うこと
明日は22卒の選考開始日、6/1ですね。
毎年、経団連と政府が話し合って就職活動の開始時期を決める就活ルール、人事の皆さんはもちろん、就活生の皆さんも意識されているのではないでしょうか。
なぜ就活ルールがあるのか
目的は「就職活動の早期化、長期化により学生さんが学業に専念できない状態を回避したい」だったと記憶しています。
大学側の意向を踏まえた政府と、経済界で大きな影響を持つ企業が参加する経団連とが話し合い、就職活動時期を決定し、経団連に加盟する企業はこのルールを守るよう伝えられていた、というのが大きな概要です。
現場ではどうとらえていたか
①人事:非加盟企業は、早期の活動で「学生さんと出会いたい」
経団連に加盟している企業は「規模も知名度もあり採用活動がしやすい企業」でしたので、まともに大手企業と選考スケジュールをぶつけてしまうと埋もれてしまう中小企業やベンチャー企業では、あえて選考を早めて「学生さんと出会いたい」と思う人事さんが多かったと思います。
②人材会社:シーズンオフも売り上げが欲しい、成功事例は共有したい
通年、売上を上げたいという意図から、早期選考を希望する企業にはインターンシップサイトを利用した選考への動員運用の方法や工夫を伝えていましたし、中小企業には選考を早めることを口頭で勧めていました。
※私自身が人材営業していたころの実体験です。
実際に、学生さんと早期接点を持った企業ほど採用に成功していたため、その「選考開始日前に選考をするノウハウ」は人材会社を通じて、経団連加盟企業も含めた様々な会社に伝わっていったと思います。
そして、以下のような学生さんから見て非常にわかりにくい選考が出来上がっていたのです。
・インターンシップで、実は選考をしている
・座談会といいつつ、一次選別をしている
・選考開始日前に「内定じゃないけど、ゴール、わかるよね」と伝えることで、内定をほのめかす
など
③就活生:短い期間の就活に不安と混乱
この10年で私が出会った就活生の多くは、短い時間で就職先を決めることに不安を持っており、選考なのか面談なのかよくわからない選考ステップに混乱していたように思います。
そして、選考開始が遅れれば遅れるほど「他の人より先に始めて安心したい」と動き始める学生さんが増えていった気がします。
本当の問題点はなんなのか
私自身、学生時代、一番研究が楽しくなる時期に就活が入ることによって研究活動に集中できない状態にストレスを感じていましたので、「就活ルールによって学生さんの学業の時間を確保しよう」という考え方はいいなと思っています。
ただ、学生さんたち自身に、もっと自分のやりたいことを問う時間が必要だった、というのもまた事実かな、と思います。
「学生は学業に専念してほしい」という理想を実現するには、就活のもっと前から「自分の軸で選ぶ力」を養成することが不可欠なのかもしれません。
しかし、教育も就活も、ビジネスがはいると、「どうやって売るか」「どのスキマにニーズを得るか」という目線が入り込み、理想と現実の間によくわからない建前が立ち上がります。
そうした中で「自分の軸で選ぶ力」を養成することは簡単ではないと思います。
だからこそ、就活が始まる世代も、終わった世代も、一人ひとりが「自分の軸で選ぶ力」を意識し続け、そういう発信を続けていく必要があるのかな、と思います。
私も人事として、そして母親として、
一人ひとりが「自分の軸」を大切にしてもらえる世界の実現に貢献していきたいと思っています。
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