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広東語を中国語に訳して気がついたこと

先日読み終わった『広東語の世界』にも書いてあったことだけど、私も広東語と中国語というふうに同じレイヤーで並べるのは変な気がする。
中国語のほうが大きなカテゴリーで、その中に広東語が入っていると思う。
英語ではCantoneseとMandarinで使い分けるらしいけど、日本ではマンダリンと言ってもピンと来ないかもしれない。
台湾華語に対するMandarinも、日本では中国語になってしまうので、なにかもっとこれは中国の標準語である普通話という中国語を表してますというわかりやすい言い方があればいいのにと思う。

それはさておき、勉強に使っている『身につく広東語講座』の本文を訳してみようと思った。
最初は日本語訳することで自分がどれくらい理解できているかを確認しようと思ったんだけど、ふと中国語訳してみたらどうかなと考えて、書いてみた。

繁体字で書くと広東語を書いているのか中国語を書いているのか分からなくなるので、簡体字で。久しぶりに簡体字書いて、ちょっと忘れてる字もあってびっくり

広東語と中国語は、発音にかなり大きな隔たりがあるけど、文法はとても似ているので、読んでいてそんなに違和感は感じない。
だからサクッと中国語に訳したらより理解しやすいかなと思ったんだけど、訳してみるとけっこう細かい違いに気がつくことができた。
なんとなく感じる戸惑いはこういう細かい違いにあるのかもしれない。

阿爺唔喺度:爷爷不在那里
啲餸:那些菜
我買返嚟(嗰)啲嘢:我买回来的那些东西

広東語は、中国語の「那」や「这」という指示代名詞を省略していきなり量詞や方位詞だけを持ってくることができる。

我買返嚟(嗰)啲嘢:我买回来的那些东西
攞啲生果出嚟:拿出一些水果来

広東語は、方向補語がたとえ複合方向補語であってもまとめて目的語の後ろに置かれるので、中国語のように「来」や「去」だけを目的語の後ろに持ってくることはない。
ここで言うと返嚟(回来)と出嚟(出来)の部分が複合方向補語。
このことから、最初の文は目的語に当たる「(嗰)啲嘢」が方向補語の後ろに来ているので、普通の「我买回那些东西来/我买回那些东西来」という意味にはならないということがわかる。
つまりこういう場合は「嘅(的に当たる)」も省略可能、というか量詞が代替してくれている。

擺喺枱:擺在桌子上
躉(喺)枱(上便):放在桌子上(面)

広東語では「喺(在に当たる)」の後に場所的な性質を持たない名詞が来ても場所化するための方位詞は省略できる。中国語では名詞を場所化するための方位詞は省略できない。
広東語の場合、「喺」の前に動詞があって補語として「喺」が使われている場合は「喺」も省略可能なようだ。

洗乾淨手:把手洗干净
抹乾淨張枱:把桌子擦干净

中国語でも結果補語の後ろに目的語が置けるものもあるけど、「洗干净手」や「擦干净桌子」は不自然な気がするんだけど、広東語ではどんな動詞と結果補語の組み合わせでも、その後ろに目的語を置いていいんだろうか?

返咗嚟:回来了

広東語では動態助詞(動詞の後ろに置く了)と語気助詞(文の最後に置く了)を区別する。
動態助詞である「咗」は目的語や補語があっても、つねに主要動詞の直後に置く。

こう書いてみると、やっぱり中国語とはだいぶ違う振る舞いをしているなぁと改めて気づいてしまった。
そして、中国語と広東語を行ったり来たりしていたら、かえって混乱してきちゃった。

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