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飲食店の複合的営業の困難さについて

先に以下のような投稿をしました。

レストランと仕出し営業の違いなど、一般の人にはわかりにくい部分もあると思いますので、少し書き足します。

なお、毎回書いてますが、食品衛生法に関連することも書いていますが、これはあくまでも一食品製造事業者だった私の経験によるものであり、間違っている可能性もおおいにあります。(ご指摘いただけましたら幸いです。)また、従来からいわれていますが、保健所によっても見解が違います。正確なところは必ず、管轄の保健所や法規に照らして確認していただくよう、あらかじめお願いしておきます。トラブルには一切の責任は持てませんし、そもそも、ざっくりとしたことしか書けません。ということをご了承くださる方のみ、続きをお読みくださいませ。

さて、最初の投稿で、飲食店営業(レストラン)と仕出し弁当、製造業は違います、ということを書きました。しかし、新型コロナウイルス感染にともなう環境の激変で、レストランで営業してきたところが、テイクアウトや弁当の配達などをせざるをえなくなって、それが常態化しつつあるというのが現状です。


では、なんでそれが現状の法規のままでは難しいのか、新しいルールが必要か、ということについて、少し補足したいと思います。

飲食店の営業許可を保健所に出してもらうためには、それ専用の施設、つまり厨房の施設と設備、トイレ、手洗いなどが必要です。細かいところは省きますが、今回のような緊急避難的な営業でネックになるのが、許可が別になっているものをつくるときには、別に許可を取らなければならない、そしてその許可は、独立した許可になっているものについては、ワンセットの設備につき、基本、ひとつしか取れない、というところです。そして、レストランの許可と、仕出し弁当(弁当の宅配など)は、別の許可になっています。

先に書きましたが、私は当初、仕出し弁当店として創業しました。ところが近くに大型スーパーができてしまったので、店で評判がよかったからあげを単品で売り始めた。これだけで、厳密にいうと、NGなのです。

え?なんで?店でからあげつくって、弁当としてご飯と一緒に売るのはオッケーで、単品でからあげだけ売るのはダメなの? ただの引き算じゃん?っと思うでしょう。でも、ダメなんです。なぜならそれ(からあげの製造)は「総菜製造業」にあたるから。

このへんは、保健所にもよると思いますし、現状、その程度は見逃されていることが多いと思うのですが、例えば私がそうであったように、その部門の売り上げのほうが伸びて、外で売ることも考えるようになったら、これはもう、どっちか取らざるをえなくなります。実際に私もそうせざるをえず、総菜製造業の許可を取り直しました。その際、厨房がひとつしかなかったので、仕出しの許可は返上しました。そしてその時から私は、白ご飯のついたからあげ(つまり弁当)をつくれなくなったのです。もしつくって売ったら、食品衛生法違反です。冗談だと思うかもしれませんが、ほんとです。だから、そのあとは、弁当の注文が入っても断らざるをえなくなりました。

もちろん、最初から、パンとか菓子とかつくって売っても違法です。それをやりたかったら、もう一つ厨房をつくって、パン菓子製造業の許可をとらないといけません。

一方、飲食店(レストラン)というのは、そういう点ではかなり自由な業態で、同じ厨房で総菜も作れるし、ご飯もパンも定食もラーメンも漬物もハムなどの食肉加工品(ちなみにこれ、製造でやろうとするとめちゃくちゃハードル高いんです)、デザートもアイスも、なんでもつくれる。ただ、それ、店でその場でつくって食べさせる、ということが大前提なんです。テイクアウトもいちおうオッケーにはなっていますが、あくまでも店で出しているものを客の求めに応じて持ち帰ってもらっただけ、ということになっているはずです。

(なお、先に書いたレストランで調理されているものを仮に製造業でやろうとすると、パンとデザート(パン菓子製造業)・定食(仕出し+味噌が自家製なら味噌製造業+総菜製造業)・アイス(アイスクリーム等製造業)、などそれぞれで各ひとつの施設が必要となります。)

ですので、飲食店が本格的に弁当の配達などをやろうとすると、必ずどこかでハードルにぶちあたるんです。仕出しで行くのか飲食店でいくのか。現状のルールを厳密にあてはめたら、今すぐにどちらかを取らざるをえない。

また、どちらかをとったほうがいい、というのも事実です。レストランは、小さいところだと、お客さんと従業員のトイレが同じ、というところもまだあります。とくに感染症が社会的な問題になっている今、製造スペースと一般の人が立ち入れるスペースを明確に分ける施設整備は、本格的にやるなら中長期的には避けられないとは思います。

ただ、この不透明な時に、小規模な飲食店に、今すぐどちらかをとれというのは、酷だと思います。また、現状は、なしくずし的な自己責任になっていますが、この状態がよいとも思えません。

ですから、今回の提案は、あくまでも暫定的に、移行期における仮の制度というか許可というか、レストランの許可を返上しないでも小規模なテイクアウトや仕出しを条件付きで認める仕組みはできないだろうか、という趣旨です。これだけの飲食店がテイクアウト営業をしている今、現状にあった、現実的なルールづくりが必要だと思います。

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