海外事例研究 | スペイン・バルセロナでの歩行者優先道路 | Part 1:歩行者空間の形成・スーパーブロック
はじめに
GEOTRAインターン生の伊藤です。
スペイン、バルセロナ市の都市計画とその影響について、2つの記事に分けてご紹介します。
本記事では、第1弾として、バルセロナ市が歩行者優先道路を形成した歴史的な経緯と、2016年から導入した「スーパーブロック」という都市モデルについてご紹介します。
事例研究:バルセロナ市の都市再生・歩行者優先道路の広がり
スペイン、バルセロナ市では、1980年代から都市再生を促進するプロジェクトが始まりました。このプロジェクトは、「街全体が公共空間」という住民が中心の考えに立脚しています。伝統的な都市形態は維持しつつも、密集した市街地の中で、環境が悪く老朽化した建物を取り壊し、公共空間として整備する、「スクラップ&ノットビルド」と言える手法を用いています。
建物を取り壊した空間には、街区の中にパティオ(中庭空間)を設計して、道路に緑を取り入れながら公共空間を創り出してきました。
更に、交通量の多い道路においては、以下3つの施策を取り入れて、「歩きやすい道路」を形成してきました。
スーパーブロック
2016年以降は、バルセロナ市は、複数の街区を一つの大きな地区(約400m四方)に統合して、ブロック内部への車両の立ち入りを制限する「スーパーブロック」という施策に取り組んでいます。
バルセロナ市は、この施策を通じて、街の中の「歩行者用スペース:車道」の割合を、2030年までに現在の「45:55」から「69:31」に逆転させることを試みています 。
第一段階として、街区内の自動車を一方通行にし、制限速度を30km/h以下にして、自動車の侵入を抑制した歩行者を優先する場所を生み出しました。
更に、第二段階として、自動車の制限速度を10km/h以下にし、街区内の道路空間を緑地化して、住民が滞在可能なオープンスペースを作ることに取り組んでいます。
結果
バルセロナ市は、歩行者空間化を促進する動きに伴い、日常的に必要とする施設・サービス(住宅、学校、職場、医療施設、公園、スーパーマーケット、レストラン、カフェ、文化施設など)に徒歩15分以内にアクセスできる都市空間になり、住民の生活の質が向上しています。
最後に
ここまでご覧いただきましてありがとうございました。
本記事では、第1弾として、バルセロナ市の歩行者空間化に伴う都市の変遷や、「スーパーブロック」についてご紹介しました。
第2弾では、バルセロナ市の歩行者空間化に伴う消費行動と健康状態の変化について、ご紹介します。
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