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未経験の業務やプロジェクトで活用できる "戦略的読書のススメ"


本記事を書こうと思った背景

戦略的読書とは

戦略的読書とは、ただ単に本を読み、知識を得た!、楽しかった!、学びになった!、で終わらせず、業務上のアウトプットまで活かすことをゴールにしています。そのための常に仮説を持って読書をし、推論を働かせて仮説を進化させていくアプローチ方法です。(大前提、私が勝手に名付けたものです)
具体的には、下記ステップで実行していきます。

前提: 読書のメリット

・ネット社会である現代では、必ずしも読書ではなく、ネットで情報収集や専門知見のある人から話を聞くことも有益な方法です。
・「知識の引き出しができる」のように、自分の頭に知識をラベリングして格納するイメージを持ってから、業務上で未経験のことに直面した際にも、それらの引き出しを抽象化して活用することで、物怖じせず思考・回答できるようになりました。
・人によってインプット手段は異なりますので、前提として読書のメリットを感じている方に実践いただきたいアプローチになります。

  • 体系的な知識を得やすい
    書籍は多くの場合、特定のテーマに沿って深い専門知識が体系的に整理されています。ネット情報は断片的なものが多く、複数のサイトから集めても網羅性や一貫性に欠けることが少なくありません。未経験の業務では、必要な全体像を把握しつつ細部の理解を深めるために、体系立てられた書籍が適していると考えます。

  • 情報の信頼性が高い
    書籍は、出版までに多くの専門家によるレビューや編集プロセスを経て世に出てくるため、情報の信頼性が高いことが特徴です。ネット上の情報は更新が早い一方で、信頼性や情報の正確さが不確かである場合も中にはあります。特に業務上のエビデンスとする際には、出典はめちゃめちゃ重要です。

  • 深い思考が促進される
    書籍はまとまった情報を一度にインプットでき、ネットや聞き取りに比べて集中して深く思考するのに適しています。じっくりと読み、考えを整理しながら知識を吸収できるため、単に情報を得るだけでなく、それを自分の中で整理し、自分なりの解釈を深めることができます。これにより、プロジェクトに役立つ新たな視点、着想やアプローチが見えてくることが多いです。

  • 過去の知見をまとめて学べる
    ネット情報は最新の情報に強みがありますが、業界の基礎や過去の成功・失敗事例を理解するためには、書籍の方が適しています。特に新しいテーマに挑む場合、基礎的な知識や理論を確立した著名な書籍から学ぶことで、現代に通じる普遍的な知識を得られます。

  • 知識の引き出しができる
    表現が抽象的ですが、個人的には業務上困ったときやアウトプットに悩んだ時に、「あの本に書いてあったな!、あの図示の仕方を使おう!」など、書籍に立ち返って考えるケースが多いです。本を読んでその場で覚えきることは少なく、頭の中の本棚に付箋を付けて、自分の引き出しを増やすような感覚でインプットしています。

戦略的読書のアプローチ方法

1. 解きたい課題や仮説を持って本探す(書籍選定+目次・本編を少し確認)

・業務上での未経験の領域やテーマ、答えのない問いに直面した際に、自分なりに仮説や解決策を持っていることが前提となります
・①自身の仮説以外の示唆が得られそうな内容、②自分仮説の裏付けとなるファクトがありそうな本を見つける、ため大型本屋(丸の内・丸善、新宿・紀伊国屋が2強)で参考になりそうな書籍を見つけます。手に取って目次を参考に内容を流し見して、上記①~②いずれかで利用できそうなら購入します。
・自宅で行う場合は、Amazonや紀伊国屋のオンラインストアで検索します

2. 具体的にアウトプットで活用するイメージを浮かべる

・業務上、どのように活用するか具体的なイメージを検討します
下記のレベル感で十分ですが、得たインプットをアウトプットとして何に使うかは必ずセットで考えます
この時、業務やmtg時に横に本を置いておく、もしくは写真を撮って保存しておくと振り返りに便利です。
例)
・A社へのB領域の提案をビジュアライズで示す時に使おう
・顧客とのmtgの補足コメントのロジックやエビデンスとして持っておこう

3. 実践での意識的な活用

・インプットして広げた仮説を業務上で実践します
誤っていることや方向修正することも多いですが、仮説がブラッシュアップされ検討が前進した、と解釈します。まずはインプットしたことを意識的に業務でアウトプットし、他の人からの意見やフィードバックをもらってみましょう。

4. 仮説をブラッシュアップし、自分だけのインサイトへ昇華

・未経験のテーマであっても、①読書によるインプット/仮説構築、②実戦でのフィードバック、③再考/ブラッシュアップのサイクルを回すと、本にも載っていないかつ、他人も言っていない自分だけのインサイトを生み出すことができます。これらのサイクルを日々大量に、かつ高速で回すことが重要です

具体例 ~データドリブンでの顧客理解・クロスセルを企画、提案したい~

・アプローチ方法1~4を実際の書籍に落とし込んで、どのように書籍選定、内容を咀嚼してアウトプットに活用するか、例示していきます
(実際のケース)顧客企業がクロスセルを強化したい、そのためにデータ活用ができないか、というニーズを持っていることが分かったが、どのような提案をしていいか、分からない場合

■書籍タイトル
・ユーザー基点、顧客とつながる、といったタイトル内のワードから、データ利活用により、顧客理解やデータマーケティングをどのように行うか、参考になる書籍ではないかと推察できます。
ユーザー基点マーケティング実践ガイド CDPによって顧客とつながるストーリー(小畑 陽一、 菊池 達也、 仁藤 玄 著書)

■目次
・目次を見ると、CDPの構築などのソリューションや基盤導入の話だけではなく、顧客理解、セグメント分け、ナーチャリング(顧客育成)まで章立てがあるため、CVRまでの一気通貫での戦略、施策検討に活用できると推察できます。

■内容
・顧客把握のための具体的なステップの内容は、データ利活用全般の提案で活用できます。
またID統合の考え方も図示されているため、仮に提案で活用する場合は自身が提案するインプットデータに置き換えて記載することもできます。
CDPで保持している各種データがどのような保有状況になっているか、分かりやすく図示しています。このように顧客データが断片的にしか保有できていないケースは実務でも多発する、と考えられるため、その際の検討に活かすことができます。

戦略的読書×仮説アプローチ

上記の戦略的読書は、読書を通じてアイディアを広げていく「仮説探索型アプローチ」と、元々持っていた仮説が本を読むことで誤りが確認できた、またはmtgでの同僚や顧客からフィードバックで仮説を修正していく「仮説検証型アプローチ」のサイクルを相互に行っています。
一般的に「仮説思考」と言われて思い浮かべるのは、「顧客セグメントAに対しては、TikTokを活用したアプローチが閲覧率やCVRが高い」といった仮説に対し、施策を実行し検証する「仮説検証型アプローチ」です。一方で仮説は1回であたるものではなく、自身やチームの見識を踏まえて初期仮説を立てて、更に抜け漏れがないか広げて検討していく「仮説探索型アプローチ」も併用していくことが効果的であり、今回の戦略的読書では、両方の側面を意識します。

1.仮説探索型アプローチ

未経験領域の業務やテーマや新しい分野に直面した際に活用するアプローチです。このアプローチでは、十分な情報や既存のデータが乏しい状況で、まずは可能性のある仮説を複数立て、その仮説を整理・絞り込むことを重視します。アイデアを広げ、潜在的な解決策を模索する場面で有効です。

2.仮説検証型アプローチ

既にある程度の方向性が見えている状態や、「仮説探索型アプローチ」で検討した具体的な仮説を検証する場合に有効です。このアプローチでは、検討された仮説の妥当性を迅速に検証し、正否を判断して次のアクションを決定します。データや既存知見を活用し、仮説を検証することで精度の高い結論を導きます。
出典: 「仮説探索型分析」と「仮説検証型分析」:分析のアプローチは2つだけ 株式会社ギックス What’s news/Others

終わりに

・ビジネス書を読むのはあくまで、業務上で成果を上げるための"手段"ですので、最終的にアウトプットとしてどのように活用するか、それらを顧客に発信した際にどのようなリアクションがありそうか、常に考えて本を読む必要があります。
・このアプローチ方法を意識して業務に取り組むことで、未経験の領域がきても、まず「仮説探索型アプローチ」で方向性のあたりをつけることができ、「仮説検証型アプローチ」を通じて、mtgでの説明や提案を行う際のロジックやエビデンスを強化し、説得力を持たせることができます。

ぜひ日々の業務で意識して、読書と実践のサイクルを回し、仮説思考の強化や自分なりのインサイト導出に繋げてください!


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