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展示感想: 「In Between-Resonance」中村馨章個展、ホワイトストーン ギャラリー銀座新館6月3日から7月2日

 中村馨彰個展「In Between-Resonance」伺ってきました。

 中村さんは、聴覚障害で、はじめてお会いしたときは、こちらのくちびるの動きを読んで会話していました。
 原宿、新生堂での個展は、その頃のもので、凝結したかのように動かない時の幅のなかでの静かな変化を、炎と引き寄せられてゆく蛾をモチーフとして、描いたものでした。

 それは、音のない彼の精神世界でありました。

 その世界しか知らない彼にとって、人工内耳の装着は、驚愕のことだったでしょう。
 音が、洪水のように流れ込んでくる。

 一人暮らしていた山奥から、突然、スクランブル交差点に移動させられたようなものです。
でも、人工内耳を外すと、これまでの世界に突き落とされる。

 中村さんは、その混乱の渦に巻き込まれながら、逃げるようにアメリカに渡ることになります。

 留学先で、引き裂かれた二つの世界で、自分を問い直します。背景として、日本とアメリカという二つの文化とその狭間があったかもしれません。

 引き裂かれた二つ世界、どうしても交わらぬものの交わり。
 それを説明の観点からと情感の観点、二つの作品群として今回は発表されています。よく戻って来てくれたと嬉しくなりました。

彼と、また、この都会で再会できて、本当に嬉しいです。

 まだ、会期は続きます。彼がいたら声をかけてください。マスクをとって、身振りを加えて話してあげてください。

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