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【画廊探訪 NO.120】土に覗く、コギト・エルゴ・スム―――横山芙実展『天井を覗く』に寄せて――

土に覗く、コギト・エルゴ・スム
―――横山芙実展『天井を覗く』(Gallery Face to Face)に寄せて―――
襾漫敏彦

身近なところに土はある。緑を育み、人を支え、水と温もりと大気を貯えてくれる。
 人が、ひとたび土を利用しようとしたとき、そのための様々な工夫が求められる。そして土は、壁にもなり、器にもなり、食物をこしらえる畑にもなる。
 時として、土は砕かれ、水に晒されては、沈められていく。洗練された土は、焼かれて器ともなり、絵の具材ともなる。

 横山芙実は日本画の作家である。彼女は、土や岩の絵具の中に、胸の内にたゆたう想念を与えていく。黒から褐色を中心とした狭い色域の中で、たらしこみのような色の濃淡の中に自画像ともいうべきものを注ぎ込む器をつくっていく。
 横山は、これまで、歯を咬みしめ全身に力をいれるような姿を描いていた。それは、誰かに向けた感情の発露であったのかもしれない。
 けれども、今回の個展『天井を覗く』で描かれているのは、ふっと息を吐いて、力を抜いたような表情である。

 『天井を覗く』は、“葦の髄から天井を覗く”という諺からきている。それは狭い世界しか知らないという意味である。けれども、それこそが自分の世界であると得心すれば、余計な願望に揺さぶられない“わたし”を手にすることができる。
 水の中に澱のように沈んでいた土は、絵筆の力でかきまわされて画布の上に置き直される。それは、渇くにつれて図像の表面に粒子の形が自ずとあらわれていく。それは、抜けていく執着の先に、再びあらわれてくる身体性のようでもあり、もうひとつの“コギト”なのかもしれない。

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横山さんはツィッターもやってますが、

アートアニュアルオンラインの記事が秀逸なのであげておきます。

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