展示感想: 山内康嗣 河野志保 展「景色の手ざわり 」その1
山内康嗣 河野志保 展「景色の手ざわり 」に行って来ました。
山内さんの作品は、子供の頃に住んでいた家が取り壊しになるということで、最後の姿を見に行ったことからインスパイアされた風景のシリーズです。
山内さんは、これまで、社会風刺や過去の名作をもとにした作品を作ってきました。
それは、主観が投げ出された世界の表現でもありました。それは、作者の精神が作り出す風景画ともいえるでしょう。
自分の主観の世界の中で、浮かびあがる形を描く作品は、過去を掘り下げていくようでもあります。
記憶、それは、今のスクリーンに投影された、 体験の断片のようなものですが、見出していく過程は、漠としたものが、形をなす過程でもあります。
思い出そうとする形のまわりには、はっきりしないものがまとわりついています。意識と無意識の境が、形のまわりにあるボンヤリした青空や緑に現れているようです。
明確な形と、雰囲気のような固まらない部分のコントラストが、今回の展示の特徴かもしれません。
次回は、河野さんをとりあげます。
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