表現再考:清らかな鳥の声に、眼を見開いて
今日は立春の次候、黄鶯睍睆、ウグイスなく、です。睍睆は、けんかんと読んで、鳥の声が清らかなさまですが、睍も、睆も、眼が飛び出た様を指すようですが、二つながらに眼の様態を示しながら、あわさって鳴き声の描写になるのも面白いです。
黄鶯というのは、日本にはいなかった黄色が鮮やかなコウライウグイスのようですが、伝わってきた文章に書かれている鳥のことを、想像したのか、もしくは、日本の鶯の鳴き声を聞いて、ああ、あれが、文にある黄鶯か、と想像したのか。
鳴き声を聞いて、そこにいる鳥を、あたかも文から萌え出るようにあらわれたとして、文人が目を見開くようにハッとしたとしたら、睍睆というのもなるほどとも思います。
本朝七十二候では、立春の次候は、黄鶯睍睆ですが、中国の宣命暦による七十二候では、蟄虫始振(ちっちゅう はじめて ふるう)で穴籠りの虫が動き始めるです。