表現再考:鶏始乳 にわとりはじめてとやにつく、鶏が卵を産み始める
宣明暦の大寒の初候は、鶏始乳で、鶏が卵を産み始めるです。本朝では、大寒の末候ですが、乳というのは、子育てを始めるという意味です。
卵は年中、手に入れることができますが、鶏は基本的には春から秋にかけて卵を産むそうです。ですから、この意味は、春が来るよ、という意味でもあるのでしょう。
鶏は、日の出を教えてくれる鳥でもあり、時を告げる鳥として、聖なる存在として考えられていたのでしょう。二十四節気、冬の最後の節気に相応しい候かもしれません。
鶏始乳を調べていて、「乳」という漢字には、「母乳」や「人工乳」といった育児のための栄養素だけでなく「育てる」という意味もあるようです。何かを準備する陰の季節から、それが花開く陽の季節に向かうに相応しい文字かもしれません。