働くことがイヤな人のための本(読書感想文)
このつぶやきを書いた時、えびちゃんが興味を持ってくれたので感想文書き比べしよ♪ってお誘いした。
えびちゃんが読み終わるまで、ネタバレせんように静かに待ってたが、えびちゃん書き終えてからもう4日目の朝!
誘ったのコッチなのに、やるやる詐欺になるところよ。危ない危ない。
えびちゃんの感想文、客観冷静理性的なので、大変読みやすいです✨
私、真逆書きます。
本、読みにくいです。クセがすごい。
この本の読みにくさの部分を救っているのは、本の帯に「男の学校」と書いてあることと、あとがき解説で齋藤美奈子さんという女性がぶった斬ってくれていること。
登場人物のBさんがあえて30代女性で、立場も年齢も関係なく哲学する場「無用塾」を開いた作者にも関わらず、深層心理に女を軽んじている部分を感じずにはいられない。
作者の中島義道氏は、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了、ウィーン大学大学院基礎総合科学哲学博士課程修了。そして電気通信大学教授という、たくさんの経歴をお持ちで他にもいろいろな著書があるが、私はこの一冊しか知らないし、他のを読もうとは思わない。
作者は大学生活が12年と、とても長い。その長い大学生活及び引きこもり生活を続けられたのは、独身の姉の膨大な「投資」、ウィーンで三年間「飼ってくれた」奥さん、それからお母さんがいたからであることは、本の中に書かれている。
一方で、広い意味での仕事と呼ばれる子育ても家事も、ここでは仕事から除外するという文脈が出てくるのだ。
支えた立場からすれば、お前ふざけんなと一言も二言も言ってやりたくなるのでは?
この本の執筆中も、彼の奥さんとお子さんは海外におり、身の回りのことは清掃会社の女性たちが請け負っている。
家事育児のようなシャドーワークを仕事と呼ばないとしながら、「金にならない仕事」の中で哲学することを仕事として捉えている。
そもそも本の書き出しがなんか嫌な感じだ。
「私と異なった感受性をもつ膨大な数の人には何も訴えることがないのかもしれない」
「さようなら。またいつか、どこかでお会いしましょう」
これを「はじめに」に持ってくるって。自虐的とも言えるし、自信満々のようにも感じる。この本を必要とする人はそんなにいないよねって意味なの?こう書いてもどうせ読むでしょ?みたいな挑発を受けたようにも感じる。齋藤美奈子さんも私も追い払われずに怯まずに、めげずに何度もこの本読んでえらい。笑
社会の犬、組織の犬としてあくせく賃労働している「鈍重で善良な市民」と、哲学者との間には大きな壁がありそうだ。
齋藤美奈子さんのぶった斬りで締めさせていただきます。
「哲学者なんて(と差別的にいうが)、労働者としても生活者としても、もともと失格なわけですよ。じゃないと哲学者にはなれないし、失格だが、人類の貴重な文化財だから社会が特別に保護してやっているのである。そんな保護動物みたいな立場の人が、他人の悩みに首をつっこむなど、トキがパンダの心配をしているようなものである」
なんとも強いご意見。こういう女性とはうまくやって味方になっていただきたいなぁと思う。
中島義道先生、またいつか読ませていただきます!