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ニ週間の休暇
大統領選挙の結果は共和党トランプ氏の圧倒的な勝利となった。激戦州と言われる州で次々とトランプ氏の勝利が決まってゆき、最終結果が出るまで本当にあっという間だった。私はカリフォルニアという超リベラルな州の中でも超リベラルな街に住んでいるが、トランプ氏が次期大統領に決まった瞬間は近所からお祝いの花火の音が聞こえてきた。
ハリス氏を支持していた人々の中にはもうアメリカを離れると言う人もいる。選挙結果に動揺し、アメリカ脱出宣言をする人たちは8年前にトランプ氏が当選した時にもいたが結局その多くが今もアメリカにいるわけで、今回も同じだろう。
来週は感謝祭だ。毎年の大事な集まり。皆政治の話は抜きにして家族や親しい友人たちが美味しい食事を囲み、温かい時間を過ごせると良いなと思う。感謝祭前後は殆どの学校も会社も休みになる。集まる家族がいない場合はこの休暇を使ってふらりと旅に出るのも楽しそうだ。
「二週間の休暇」は大好きなフジモトマサルさんの本。
なにもかも忘れてゆっくり休みたい。
ぼんやりと雲をながめたり
心ゆくまで読書をしたり、
時間をかけて料理をしたり、
なんの不安もなくのんびりとすごせる場所で。
遠くに行ったり観光したりするだけが旅じゃない。自分の過去を辿る旅、大切な人との想い出を辿る記憶の旅はどこにいたって出来る。休暇をこんな「旅」に使ったらどんなに素敵だろう。好きな時間に起きて好きなものを料理して好きな事をして、そのうちふと大切な何かを思い出すようなそんな旅。
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主人公が懐かしい友達に会えたときには涙が出そうだった。
不思議な世界の終わり方も切ない。
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不思議で、ちょっと不安になるような静けさで、目が離せなくて、少し可笑しくて少し悲しい。フジモトマサルさんの本には他のどんなものとも違う魅力がある。
感謝祭で家族親戚や友人と集まる人たちも、一人で気ままに過ごす人たちも、普段通り仕事に行く人たちも、選挙前後のピリピリムードにお疲れ気味の人たちも、ストレス知らずの元気な人も、みんなこの休暇でゆっくり出来たらいいなと思う。