快闘ヴァ・ルッタ! 編
──かなり長い、横道であった。
あらゆる場所に足をつっこみつつ、さりとてメインストーリーは進めずといったプレイスタイルをとっていた自分が、ようやく本筋を行く決断をしたのはまだ寒さ厳しい三月の頭であった。
装備の数は十分。ゾーラの服もクエストこなしたりサルベージしたりで全て揃え、強化もした。(リアルの)体調もバッチリだ。
そんなわけで、自分はswitchを携帯モードからテレビモードに切り替え、大画面で事に向かった。
シド王子との約束の場所、東の貯水湖に。
貯水庫に向かう長い階段を繰り返し登り(こういうのなんて書けばいいんだろう? 折り返し階段?)、ようやく目的地に。
近くには雨風をしのげる立派な休憩所があり、ベッドと宝箱があった。なんとなく寝て、朝にする。
リンクが目覚めてみても、神獣ヴァ・ルッタによって止まぬ雨の降る貯水湖周辺は暗い曇り空だ。早く神獣を鎮めねばの気持ちが強まる。
戦い。そして内部へ。
王子と短い会作戦会議の後(神獣の背中に赤く光っている箇所があり、そこを弓矢で狙い打つ。それで神獣を一時止めるという話だ)、リンクは彼の背に乗った。
一般人である自分の感性からすれば「王族の背に乗って良いの? 不敬じゃない?」って思うのだが、両者共に里の危機だからか気にしてないようだ。頼もしい人達である。
両者が近づくに連れ、象のような威容をもつヴァ・ルッタが、雄叫びを上げ激しく反応。未知の力を使い、空中に様々な形の巨大氷を発生させた。
水中をすさまじい速度──それもリンクを乗せて、だ──で行くシド王子といえど、巨大氷に対応することはできない。ので、リンクがなんとかすることに。
これに関しては対処は簡単だ。シーカーストーンに宿る5つの力の1つ、『アイスメーカー』には氷を壊す力があるのだ。ヴァ・ルッタが飛ばしてくる巨大氷を冷静に狙い、アイスメーカーの力を発動させればいい。焦らなければ簡単だ。
巨大氷は爆弾で壊すことも出来るし、攻略手段は豊富だ。そうやって氷の応酬を捌ききった後は、その隙をついて王子がヴァ・ルッタに肉薄してくれる。
そして、ヴァ・ルッタのそこかしこから流れ落ちている滝に向かい、リンクの体を押し上げくれるのだ。「あがれぇ!」との勇ましいかけ声と共に。勇気づけられるものである。
そしてリンクは滝を登る。ミファーが作ってくれたゾーラ鱗の鎧の力によって、高く、高く滝を登り、その頂点から舞い上がり、ヴァ・ルッタの背中を眺められるほどの高さへ跳躍。そしてパラセールを広げ、弓に矢をつがえる。
赤く光る場所は4つ。それらを全て電気の矢で射抜けばヴァ・ルッタはしばし止まるはず、とは王子の言葉。
弓を扱っている間、その時間を何倍にも希釈させることのできるリンクにとって、その"赤"を複数同時に狙うのは容易い。
……が、彼を操作する自分が惜しんでしまった。
もはや二度とは訪れるまい、シド王子との共闘。
その心地よい時間を終わらせることを、『惜しい』と思ってしまったのだ。
結局、2つ打ち抜くだけで終わった。パラセールと弓で消費しすぎたスタミナを慌てて食事で回復させつつ、下へ着水。また巨大氷に追いかけられる羽目となった。
だが、神獣の攻撃を落ち着いていなし、また王子に助けられ滝の下へ。そしてまた滝登るリンク。
今度は自分は操作を誤ることなく、残り2つの赤く光る部分を電気の矢で打ち抜いた。
……神獣の動きは止まった。
王子が、ヴァ・ルッタの登れそうな所にリンクを押し上げてくれた。
彼は最後に、このうえない激励の言葉を与え、リンクを送り出す。その声に自分も勇気づけれながら、神獣を取り戻しに向かった。
過去作を思い出すような荘厳なダンジョン
リンクが神獣の入り口に足をかけるなり、『彼女』の声が聞こえてきた。
ゾーラ族の英傑『ミファー』だ。彼女に導かれるように、自分はリンクを操作していく。
神獣の内部は過去作を思い出すようなダンジョン構造となっていた、自分は時の神殿を思い出したかな?
こんな風に仕掛けを解いて
制御端末をシーカーストーンでタッチしていく。
シーカーストーン経由で神獣をダイナミックに操作することもでき、そうしないと解けないギミックもある。ちょっと頭を使う。
謎解き中も油断はできない。
神獣内のあちこちには厄災ガノンの怨念がこびりついていて、触れるとダメージを受けたり、そこから敵が発生したり、小型ガーディアンが乗っ取られていて襲いかかってきたりする。敵をやっつけたり排除したりしながら先を進む。
端末を起動させる度にミファーが声をかけてくれる。これでやる気も出てきて、自分はおよそ一時間くらいで全ての端末をタッチすることができた。
こうすることで、メイン制御装置が立ち上げられる。そして神獣が解放される……らしい、ミファーが言うには。そして彼女の声に従い、どこか球根を思わせるような巨大な装置の元に向かうが……。
神獣があと少しで取り戻せるといったところで、当然、黙ってそれをやらせる『敵』ではない。
黒いどろどろが寄り集まり、青い槍を持つ怪物『カースガノン』として立ちふさがってきたのだ。
ミファーは語る。「百年前、私はこいつに……」。仇討ちのためにも、リンクは槍を抜いた。
戦っている最中にもミファーはこちらに呼びかけ続けてくれる。
それは敵の攻撃の注意するべき点であったり、リンクを励ます言葉だったり。
自分は彼女の声を受けながら、カースガノンの攻撃を避けたり、突如変形した地形に戸惑いながらも、戦い続けた。
時間にして数分だったが、そこには100年来の因縁が詰まっていた。
そして、最後の一撃。カースガノンは奇声を発しながら消えていった。
出会いと別れ、そして救い
戦いが終わった後、真っ先に聞こえてきたのはミファーの声だった。今までのものより近く感じる。
声の主たる彼女が姿を現す……が、その姿はどこか儚げだった。そう、彼女は既に命を落としており、100年もの歳月を魂だけの状態で囚われていたのだ。
──たった独りで。
「昨日まで泣き続けていた」と彼女は言う。でも、これからは違うとも彼女は言った。リンクのおかげで神獣も解放された、自分も役目を果たせると。
ミファーはリンクに新たな力を授ける。それは生前彼女が振るっていた癒しの力。それを託し、ミファーは一旦姿を消す。神獣と共に、本来100年前に果たすはずであった役目、その準備に入るために。
こうしてリンクは新たな力を得て、ゾーラの里に帰ってきた。
里の雨は止んでいた。里の人々も大いに沸き立ち、王と王子は明るくリンクを迎えてくれた。
王子も「跡取りとして申し分ない」と王より誉められ、嬉しそうだ。
帰ってきたリンクに、最上級の感謝の言葉を送る王子。そして、言葉に添えてある物が贈られた。その場には、リンクをあれほど嫌っていた王族の教育係りムズリの姿もあった。
贈り物の中身は、ミファーの形見とも言える彼女の槍だった。ありがたく拝領して、またリンクは旅に発つ。
次はどこへ行こうかと考えていたときに、目に入ってきたのは雑貨屋でたむろしていたゴロン族の姿。
次回、山だ! トカゲだ! 温泉だ! 目指せゴロンシティ編に続きます。
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