動画撮影における記録メディアについて

 個人的な楽しみではありますが、動画を撮り始めることにしました。
 とはいえ、ただ撮って切り貼りする編集だけではそこまで面白くないですし、久々に勉強をしつつのんびりやっていこうと思っています。

 そんな訳で、勉強したことを振り返れるような備忘録的に、スローペースに更新出来たらと考えています。
 世の中にはすでにたくさんの参考書や技術書、HPもありますが、こうして自分で書き出していくことで自分の理解度を高めるのが目的です。
 できるだけ解りやすく進めていきたいので、片手間にでも読んでいただけますと嬉しいです。

 第一回として、動画撮影におけるメモリーカード選びについてを書いていこうと思います。

 各内容は目次からも飛べるようにしようと思います。

1.動画撮影で記録媒体に求めること

 メモリーカードが最も例に挙げやすい記録媒体かと思いますが、動画の撮影にはメモリーカード以外の記録媒体を使用することもあります。
 カメラに直接・間接的にSSDを用いるタイプもありますので、表記上は記録媒体(以下、メディアと記載)としました。

 ではなぜ、従来のようなメモリーカードではなくSSDを使う必要が出てくるのか。
 それは動画ファイルのデータが持続的な大容量データであることに由来します。

1-2.持続的なデータ

 持続的、という言い方をしていますが、解りやすく言うと「撮影中はずっと記録している」ということ。
 写真や文書などのデータを保存・表示する場合、メディアから出し入れするのは一時的なデータのやり取りで終わります。
 対して、動画データは撮影の始まりから終わりまで。表示の初めから終わりまでメディアにデータを書き込み続けたり、参照し続ける動作が必要になります。

 つまり、安定して持続的に動作できるメディアが必要です。

1-3.大容量なデータ

 動画ファイルを物凄く大雑把に言うと、大量の画像、音声データとそれをまとめる時系列データの蓄積です。
 そして蓄積量が多くなる=収録が長くなるほどデータサイズが大きくなっていきます。

 もちろん、画質設定を上げればそれだけファイルサイズは大きく、重いデータになります。
 それらのデータは一般的な画像・文書などのファイルに比べ非常に大容量です。

1-4.最低転送速度

 そこで求められるものは"最低転送速度"という考え方です。
 読んで字の通りではあるのですが、「転送速度の下限値=最も遅い転送状態」でどれだけのデータを送ることができるのか。

 この記事では最も身近なSDメモリーカードを例に書いていこうと思います。

SDカードのラベル

 上に貼り付けたSDカードの画像に、①~③まで色分けを行いました。
 恐らくその順番で見ることが多いだろう、という順番です。
 ここで言う最低転送速度については、③の対応規格の中で確認がすることができます。


2.SDメモリーカードの転送規格について

 ③の赤い枠の中には、このSDカードが対応している規格のデザインが印字されています。

 左上から時計回りに、1:容量の規格、2:ビデオスピードクラス、3:バスインターフェイス規格、4:スピードクラス、5:UHSスピードクラスの5つです。
 1:容量の規格については現在ほとんど意味をなしていないので、2~5の規格について。

2:ビデオスピードクラス
 動画撮影において最も重要な数値です。
 上画像の「V30」は最低でも秒間30MBの転送(30MB/s)が可能であることを意味します。
 高画質・高音質なデータであればあるほど、常にたくさんのデータを受け渡すため、この数値が高いものが求められます。
 逆にこの数値が足りていない場合、収録がストップして(詰まって)しまったり、解像度やフレームレートを落としての撮影を余儀なくされます。
 現在の主流はV30、V60、V90の3つでしょう。
 それぞれ秒間30MB、60MB、90MBと、高速な最低転送速度を有しています。

3:バスインターフェイス規格
 このSDカードがどのような転送機器に対応しているかを意味します。
 画像の「I」についてはUHS-I規格のSDカードであることを表し、最低でも秒間10MBの転送(10MB/s)が可能であることを示しています。
 現在、高画質な動画撮影に求められている転送速度を実現するには、ほとんどの場合でUHS-II規格のSDメモリーカードが求められます。

 また、バスインターフェイス規格はカードリーダーライターにも適用される規格であり、高性能なカードを用意してもカメラ側が対応していないと効果を発揮しません。
 対応しているかどうかは必ず確認してから用意しましょう。

4:スピードクラス
 HD動画が出始めたころ盛んに言われた「クラス10」などの数値はこの規格のものです。
 クラス10で秒間10MBの転送速度。下位のクラスで6、4、2の速度が存在します。
 現在のSDメモリーカードはごく一部を除いてほとんどがクラス10と同等の転送速度を持っています。
 ビデオスピードクラス、あるいは後述するUHSスピードクラスが後継の速度規格と考えて差し支えないと個人的には考えています。

5.UHSスピードクラス
 最後のアルファベットの「U」の中に3が入っているマークです。
「U3」のカードでは最低でも秒間30MBの転送(秒間30MB/s)が可能です。
 現在のUHSスピードクラスは画像の「U3=30MB/s」と「U1=10MB/s」の2種類のみ。
 より上位の最低転送速度の表記はビデオスピードクラスに吸収されつつあるように思います。

 以上が、例で挙げたSDメモリーカードが対応している規格になります。
 規格そのものが多いので厄介ですが、重複する意味合いも多いので、端的に性能をまとめると以下のようになります。

記憶容量:128GB(UHS-1/SDXCカード)
最大転送速度:200MB/s
最低転送速度:30MB/s

 パッケージに大きく印字される数値は最大転送速度が目立ちますが、転送速度の規格は下限値に重きを置いて作られていることが解ります。
 ではそれを念頭において、次の内容に移りたいと思います。

3.bps (bit per second)について

 さて、メディアにおいて最低転送速度が規格として策定されていることをここまで書いてきましたが、実際に選ぼうと思ったときどんなメディアを選ぶ必要があるのかを考えていこうと思います。

 動画撮影における最低転送速度とは、仕様上では"Mbps=Mega bit per second"として記載されています。
 日本語で言うなら「1秒あたり○○メガビット」になります。

 下に、SIGMAのHPから抜粋した表を添付したのでまずは見て下さい。

SIgma fp 4K UHD/29.97fps収録時のビットレート

 この表はSIGMA fpの4K UHD/29.97fpsで収録した場合のビットレート表です(最も右の欄がビットレートです)。
 同じ解像度/フレームレートでもMbpsの数値が大きく違うことが解ります。

 記録・圧縮方式が変わるだけでメディアに求められる性能が大きく異なることが解りますが、では最高画質で動画の撮影をしたい場合はどれだけの転送速度が必要になるでしょうか?

 気を付ける必要があるのは、単位の違いです。
 転送規格や容量を記載する場合に用いられるのは"Byte(バイト)"。
 対して、ビットレートについては名前の通り"bit(ビット)"で記載されます。

" 1Byte = 8bit "


 ビットレートの数字を8で割ると秒間の転送バイト数が解ります。
 さらに単位をMBに合わせるため、1048576(1024の2乗)で割ります。

 上の表の最高画質(CinemaDNG/12bit)時の2980MbpsをMBに直すと、355.243MBになります。
→ 2980,000,000/8/1048576=355.2436828613281…
 つまり最低転送速度356MB/s以上のメディアを使用すれば収録が可能になります。
(この場合はUSBケーブルを使用してSSDに収録します)

 なお、現在販売されているSDカードで最も最低転送速度規格はビデオスピードクラスV90。
 fpのSDカード内部収録では4K UHD/8bit/25fpsまでの収録に対応しています。

4.まとめ

 今回はこの辺りまでにします。
 正直、Byteとbitの計算や対応などは情報としてまとめただけに近いので、さらに勉強の余地を感じます。

 ここまで書いてきましたが、ファイルサイズやメディアの対応などは大切ですが意外と調べることがないので新鮮でした。
 昔の知識を思い出したり、新たに知ることもちらほら。

 しかし、高品質なメディアはまだまだ値段が高いのも事実。
 最終的に必要なのは最終出力サイズの見極めと、出力プラットフォームとの連携だと思います。
 現状、市販のカメラでは最大8Kの動画撮影が可能ですが、8Kフルで使うことはファイルサイズやPCのスペック的に個人では現実的ではないからです。
 最終編集の利便性を考えて撮影しておくにしても、編集段階の負荷が大きいことを考えると難しいと思います。
 将来的には解消される問題かもしれませんが、直近すぐに必要になるとも思えません。

 このようにまとめてみて、動画に関してはカメラやファイルだけでなく、PC関連知識や経験が必要であることも深く認識。
 ゆっくりでもしっかり楽しんでいこうと思います。
 スローペースでも楽しみにしていただければ幸いです。

 イイネや共有していただけると励みになるのでぜひお願いします。

※※※参考ページ※※※

SD Association/ユーザー向け/SDメモリーカードの選び方
https://www.sdcard.org/ja/consumers-2/about-sd-memory-card-choices/

SIGMA/カメラ/fp/仕様
https://www.sigma-global.com/jp/cameras/fp/#specifications

エクセル関数の使い方/単位計算/通信料の単位 byte を KB や MB に換算
https://excel.dw230.com/203/


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