つれづれつづり/004

#004

つれづれつづり/004

#004

マガジン

  • つれづれつづり

    • 149本

    それぞれ、おのおの、つれづれにつづります。

記事一覧

ふたつめ「花束を君に」

その日は唐突にやってきた。 後ろ足で自重を支えられないのか、前足だけで歩き、後ろ足を引きずっているようにみえる。触診して見たが痛みはないようだ。もう15歳のおばあ…

ひとつめ「おつう」

私は人間が大好きだ。だが興味がない。 これはアラフィフと呼ばれるようになった最近、自身と対話し続けて行き着いた矛盾とも言える結論だった。 元々人間が好きで興味も…

禍を転じて pfrうぇあい9 となす

電気もつけない真っ暗な部屋でそっと耳を澄ました 寝ている飼い猫がゆっくりと呼吸している音が聞こえる 規則的に繰り返すその音はワタシの気持ちを落ち着けさせる (だい…

君の好きな花

 老後、またすっごいテーマだよね 残念ながら 「はぁ?老後とかうち全然関係ないしー」って 自分のつけまつげが綺麗にカールしてるか デコった手鏡を見続けられる 年齢じ…

Never Enough

第2回で「後継者を育成」って 烏滸がましいこと言ったけれど 自分が先代から叩き込まれたノウハウなどを 部下や後輩に伝えるってのは 社会が回るためには大事だといまでも…

渡良瀬橋

前回伝えたことなのだが 私にとって生きるということは 「仕事」をすることに他ならなかった 他の選択肢など私にはなく ただただひたすら「仕事」を遂行することが 悦びで…

遠く遠く

「仕事」は時に人に喜びを与え、時に人に憂いを与える厄介な代物 ゲイに限ったことではないけれどソレはマウンティングに使われたりしてる ハイクラスな職種、年齢平均を…

バラード 第1番 ト短調,Op.23.

恋はワタシを綺麗にした 恋はワタシを強くした 恋はワタシに涙を与えた 恋はワタシに絶望を教えた 誰かがワタシにいった 「キミは恋多き女だよね」と それにワタシは申し…

きみなき世界

性的対象である以前に友人であるということ 友人であるが性的対象にもなるということ ストレートの「オトコとオンナの友情は成立しない論」とまではいかながいが、ゲイに…

モノガミス『ト』スミガノモ

私はモノガミストだ。 モノガミストと言うとセクシャリティに関係なく一瞬眉をひそめられる。 いいイメージがないのだろう。わたしにとっては半分正解。 でも若かりし頃に…

さよなら▲ またきて□

そしていま。令和元年。 人が大好きで仕方なくて つねにだれかの近くににいることで 自分のすべてが充足するものだとおもいこんでいた ナニモノでもなかったゲイの男の子…

よっつめのスタート

平成後期。平成20年代。あの日の夜。 あの日の夜のことはどんな記憶よりも鮮明に脳裏に残っている 決して華やかで幸せをもたらす記憶ではない それでもわたしにとっては…

ウェディング・バンケット

平成中期。20代後半。 前回の平成初期以降もわたしは相変わらず自分がナニモノなのかを誰かに問い続けていた 自分じゃナニモノなのか分からないから誰かを通して何者にな…

ナニモノでもないワタシ

平成初期。平成8年。21歳。 自分がナニモノなのかわからないくせに「若さ」という一過性の武器をこれでもかと振り回し自分を中心に世界が回っているというただただ根拠の…

ガイジンと呼ばれた自分と『自分ルール』の芽生え

平成元年。14歳。 西暦で言うと何年になるんだ。 あらやだ、1989年ですって。いまが2019年だから何年経過したのかしら。 繰り下がりのある引き算むずかしいし、レディーに…

ふたつめ「花束を君に」

ふたつめ「花束を君に」

その日は唐突にやってきた。
後ろ足で自重を支えられないのか、前足だけで歩き、後ろ足を引きずっているようにみえる。触診して見たが痛みはないようだ。もう15歳のおばあちゃんだから、筋肉が弱ってきたのかしらねと話していたら、すぐに階段を上り下りすることができなくなった。

簡単な段差を超えることができなくなった
自力でトイレに行けなくなった
食いしん坊だったのにごはんをほとんど食べなくなった
甘えて伸ば

もっとみる
ひとつめ「おつう」

ひとつめ「おつう」

私は人間が大好きだ。だが興味がない。

これはアラフィフと呼ばれるようになった最近、自身と対話し続けて行き着いた矛盾とも言える結論だった。

元々人間が好きで興味もあって、人には優しく、信じられぬと嘆くよりも人を信じて傷つく方がいいと心の底から信じてやまなかった。先の対話でそれはただの思い込みという結論になるのだが、とにかくそんな旗を掲げて人と接してきた。

ただどうにもこうにも金八的なそのフィロ

もっとみる
禍を転じて pfrうぇあい9 となす

禍を転じて pfrうぇあい9 となす

電気もつけない真っ暗な部屋でそっと耳を澄ました
寝ている飼い猫がゆっくりと呼吸している音が聞こえる
規則的に繰り返すその音はワタシの気持ちを落ち着けさせる

(だいじょうぶ、まだ、だいじょうぶ)

漠然とした不安が消えることなく
ただただ変化に乏しい景色が
『自粛』という2文字が重くのしかかり
繰り返される灰色の日々

怯える反面
いつか来てくれると待ち望んでいた
『死』をどこかで期待していた日々

もっとみる
君の好きな花

君の好きな花

 老後、またすっごいテーマだよね

残念ながら
「はぁ?老後とかうち全然関係ないしー」って
自分のつけまつげが綺麗にカールしてるか
デコった手鏡を見続けられる
年齢じゃないことくらいには気付いてる

だからテーマが決まってから
自分の老後ってどんなんかなーって考えていたときに
なんとなくタイムリーなのか
昨日敬愛する伯父が亡くなった

私の老後からは少し離れるけれど
少し伯父の話に付き合ってもらい

もっとみる
Never Enough

Never Enough

第2回で「後継者を育成」って
烏滸がましいこと言ったけれど
自分が先代から叩き込まれたノウハウなどを
部下や後輩に伝えるってのは
社会が回るためには大事だといまでもおもってる

伝えられたことを
彼ら、彼女らがオリジナルにアレンジする
そこからより新しい経済活動が生まれたりして
社会が成長していくのだから

というソレっぽいことを
言ったりすることで
004ったらインテリじゃない
って思われたいの

もっとみる
渡良瀬橋

渡良瀬橋

前回伝えたことなのだが
私にとって生きるということは
「仕事」をすることに他ならなかった

他の選択肢など私にはなく
ただただひたすら「仕事」を遂行することが
悦びでもあり励みであった

きょうはそんな私にとっての
仕事へのスタンスを綴りたいとおもう
といってもシンプル

20代は自分のため
30代は後継者のため
40代以降は社会のため

いまでこそこのスタンスを
聞かれたときに伝えているのだが

もっとみる
遠く遠く

遠く遠く

「仕事」は時に人に喜びを与え、時に人に憂いを与える厄介な代物

ゲイに限ったことではないけれどソレはマウンティングに使われたりしてる
ハイクラスな職種、年齢平均を大幅に超えた年収、人生を謳歌しているように見せる自由なワークスタイル、エトセトラ
そういった事の片鱗がご本人から見えると興ざめしてしまうのだが、どちらにしても自分がやりたいと思っていることに従事または関連でも携われていることができていれば

もっとみる
バラード 第1番 ト短調,Op.23.

バラード 第1番 ト短調,Op.23.

恋はワタシを綺麗にした
恋はワタシを強くした
恋はワタシに涙を与えた
恋はワタシに絶望を教えた

誰かがワタシにいった
「キミは恋多き女だよね」と

それにワタシは申したい
「恋をしないで生きられる人なんているの?」と

お付き合いの数だけ数えれば
60数人の殿方との人生を歩んできたワタシにとって
誰かに恋して成就しなかった数なんて
それこそ数え切れないくらいの恋の物語がある

本当に恋していない

もっとみる
きみなき世界

きみなき世界

性的対象である以前に友人であるということ
友人であるが性的対象にもなるということ

ストレートの「オトコとオンナの友情は成立しない論」とまではいかながいが、ゲイにもどことなくこれに近い危うさはあるのかなと感じたりする
似たスタイル・ファッションをしたゲイの集合写真を見ると純粋な友情じゃないこともあるよなと邪推したり、一緒に遊ぼうよと紹介された友達の彼氏が過去のワンナイトラブの相手だったりとか

もっとみる
モノガミス『ト』スミガノモ

モノガミス『ト』スミガノモ

私はモノガミストだ。
モノガミストと言うとセクシャリティに関係なく一瞬眉をひそめられる。
いいイメージがないのだろう。わたしにとっては半分正解。

でも若かりし頃にふとおもったことがある。
わたしは本当にモノガミストなのだろうか?
欲しかったのは本当は1対1の関係性だったはず。
なのにいつの間にか”相手から絶対的で不変な愛情が欲しい”に移り変わってしまったのではないだろうか、と。

その頃のことは

もっとみる
さよなら▲ またきて□

さよなら▲ またきて□

そしていま。令和元年。

人が大好きで仕方なくて
つねにだれかの近くににいることで
自分のすべてが充足するものだとおもいこんでいた
ナニモノでもなかったゲイの男の子は
自分の本質をきちんと自身で知り
一人の時間がとても重要であることがわかり
人との関係にキチンと距離をおけるようになった

それがときどきとても寂しくなり
わたしの中の太陽娘が激しく揺さぶられることもあるのだけれど
わたしのエネルギー

もっとみる
よっつめのスタート

よっつめのスタート

平成後期。平成20年代。あの日の夜。

あの日の夜のことはどんな記憶よりも鮮明に脳裏に残っている

決して華やかで幸せをもたらす記憶ではない
それでもわたしにとっては一生涯忘れてはいけないと刻んだ記憶

会場入り口に展示されていた高校生の時に描いていた夢をマップにした彼自作の作品も覚えてる
その奥の部屋に照れくさそうに微笑む彼の写真も覚えている
その写真の彼は花でいっぱいに飾られた壇の中心に置かれ

もっとみる
ウェディング・バンケット

ウェディング・バンケット

平成中期。20代後半。
前回の平成初期以降もわたしは相変わらず自分がナニモノなのかを誰かに問い続けていた

自分じゃナニモノなのか分からないから誰かを通して何者になれるんじゃないかってそれこそ天使にだってなれるんじゃないかって

わたしの彼氏ぃ、あのイベントのオーガナイザーなんだよぉ
わたしの彼氏ぃ、2丁目にいくとみんなに声かけられちゃって困るぅ
わたしの彼氏ぃ、わたしの彼氏ぃ、わたしの彼氏ぃ

もっとみる
ナニモノでもないワタシ

ナニモノでもないワタシ

平成初期。平成8年。21歳。

自分がナニモノなのかわからないくせに「若さ」という一過性の武器をこれでもかと振り回し自分を中心に世界が回っているというただただ根拠のない自信を持った、いまのわたしが出会ったら絶対に友達になりたくないニンゲン

それが21歳の頃のわたしだ

わたしが『21歳のわたし』を擁護するとすれば、自分がナニモノなのかわからず闇の中を手探りで歩いていくことがただただ不安で不安で仕

もっとみる
ガイジンと呼ばれた自分と『自分ルール』の芽生え

ガイジンと呼ばれた自分と『自分ルール』の芽生え

平成元年。14歳。
西暦で言うと何年になるんだ。
あらやだ、1989年ですって。いまが2019年だから何年経過したのかしら。
繰り下がりのある引き算むずかしいし、レディーに年齢を聞くのってヤボだと思う。いまが平成31年なんだから、平成元年からならすぐわかるだろって?いやよいや、マコはそんな無粋なことしたくないっ!マコはいやっ!

放っておくとこうしてわたしの文章はどんどん脱線していくので、きちんと

もっとみる