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ゲーミフィケーションの視点からPlant Nannyを分析してみた

ゲーミフィケーションの視点からPlant Nannyという水分補給を記録するアプリを分析してみました。

なんでこのアプリなのかというと、ちょうどこの前「汽水儿」という中国のpodcastアプリで、このアプリを作った台湾のデザイン会社fourdesireの代表陳威帆(Taco)さんの話を聞いて、毎日水を飲むことをサポートしてくれるシンプルなアプリなのに、「役に立つ」デザインだけではなく、「おもしろい」デザインとは何かを深く考えさせられたからです。

今回はゲーミフィケーションの要素「可視化」「ゴール」「目標」「世界観」の視点からPlant Nannyを分析しながら、「おもしろい」デザインについて自分なりの考えを整理できたらと思います。

ゴール

ゴールとは、ユーザーがこのアプリを通じて最終的に得たいことです。ユーザーにとって価値のあることです。

ユーザーが最終的に達成したいことは様々だと思います。
たとえば、水をたくさん飲むことで便秘や尿道炎などを解消したい。肌がきれいになりたい。代謝アップして、健康的な毎日を送りたいなど。

ただ、毎日たくさんの水を飲むことは直感的に考えてすごく簡単なことに思えるんですが、実はそうでもないです。

1日、3日サボっても体への影響が実感できないからです。また来年健康診断して初めて、指標に現れるんです。
大体の人にとって、毎日続けないと行けないのに、効果が3か月後または1年後に初めて実感できることはハードルが高いことです。これはダイエットにもまったく同じことが言えます。

可視化と目標

なので毎日水を飲む効果を可視化してあげる必要があります。

可視化する時のポイント(「ゲームにすればうまくいく」から引用)

数値として表現できるものを選ぶ
何を可視化するか(目標にふさわしい指標)
ビジュアルに視覚的にわかりやすくする


ユーザーが目標するにふさわしい指標を可視化する必要があります。

Plant Nannyではまず目標を数字として可視化しています。

最初に登録する時に「体重」と「活動量」から毎日飲む水の量とその量は240mlのコップ何杯飲む必要があるかを提示してくれます。
また、毎回コップ1杯を飲むと、残り後何杯かも提示してくれます。

ビジュアルの部分も細部までUIを作り込んでいて、何をやらないと行けないかが非常にわかりやすいです。


世界観

ゲーミフィケーションと言った時に、人それぞれ趣味嗜好が違うので(たとえば私は戦闘系が好きで、あなたは育成系が好きなど)、より多くの人に使ってもらうために、行動心理学に走って、結局は経験値レベルや勲章みたいな表面的なデザインになってしまいます。それは本当に面白いことなのかというとそうでもないです。たとえば、今年のボーナスを多くもらいたいから、仕事頑張るということは仕事自体をより面白くすることではないです。


おもしろいかどうかはその結果ではなく、プロセスにあるのです。

プロセスをおもしろくするというのはこのアプリ(サービス)の世界観を創ることでもあるかなと思いました。

Plant Nannyでは定時定量に水を飲まないと、かわいい植物が枯れてしまいます。なので、水をたくさん飲むという人によってはちょっと苦になる体験をかわいい植物を育てるという楽しい体験に置き換えたのです。
Tacoさんが曰く人は自分自身より、他人が喜んでいるか、苦しんでいるかを感じ取ることの方が感受性が高いそうです。
自分の体の状態を植物の状態にわかりやすく投影して、目に見る形にしたのはうまいなと思いました。

ゲーミフィケーションはユーザーのゴールと正しくつながっていないと、表面的になってしまい、ゲーミフィケーションという手段が目的になって、本末転倒になりかねないので、デザインする前にユーザー行動、ニーズを深掘りして、ユーザーにとっての「おもしろい」とは何かを定義することが大切です。

「水を飲む」というボタンをデザインするのに色々なバーションを出したそうです。最新バージョンはボタンを長押しすることで「水を飲む」ことを擬似体験しています。


「水を飲む」というボタンを押すと、水が植物に降り注ぐ効果を演出しています。

雑談ー「おもしろい」デザインについて 

「おもしろい」がデザイン基準になれるかについてTacoさんが自分の考えをこう言っています。

「役に立つ」はサービス時代の基準で、「おもしろい」は体験時代の基準。


山口周さんの著書「ビジネスの未来」で述べたように日本は経済を成長させることにもはや大きな意味がない。私たちは便利で快適な社会から真に豊かに生きることに値にする社会に突入しています。
体験がより重要になった社会では「おもしろい」に価値のウェイトが置くようになると思います。

体験時代において、日本が強みにしている「妄想力」が真に力を発揮します。

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