ロメールの「夏物語」 (1996)
若者ガスパールが夏のバカンスをブルターニュの海岸で過ごす話。
長身のカッコいい男だけど、ボサっとした感じで、ナイーブなので、いつものように好感が持てる主人公です。彼が三人の女性とつきあう様子が順番に描かれています。ウェイトレスのバイトをしているマルゴが一番共感できる人物ですが、彼が思いを寄せるレナは、さほど魅力的とも思えません。これは私の好みの問題なのか、ロメールの意図なのか。レナが登場する後半から、ガスパールの優柔不断さが目立ち始め、彼に対する好感度がガタンと落ちます。そのため、「マルゴと一緒になればいいのになあ」というこちらの気持ちもなくなり、彼にふさわしい結末を迎えます。
いつもどおりの会話の多さですが、何月何日という日付が挿入されるのがいいアクセントになっているし、ブルターニュのきれいな風景や水夫の歌という味づけもあって、一緒にバカンスを楽しんでいる気分になりました。
2013年4月23日