欧州最大の日本人街デュッセルドルフ① 〜日本を思い出してウツに〜
バスの長丁場で失った体力をなんとか回復させようとなるべく遅くまで寝てからチェックアウトする。受付で「部屋に置いてあった水飲んだ?」と聞かれる。「飲みましたけど」「はい、4€!」高え、ウェスカムドリンクかと思ったのに。私は疲れ果てて判断能力が劣っていたようでトラップにハマってしまった。くそう。軽いと思って背負っていたリュックもズンと肩に食い込んでくる。ここからは少しペース落とそう。あとはアーヘンに行けば目標達成だもの。
デュッセルドルフは欧州最大の日本人街がありオランダやベルギーに住む日本人も日本の物品を求めてこの街を訪れるのだという。
ホテルニッコーがあるインマーマンシュトラーセを歩くとさっそく本屋が!
日本と見違えるかのような品ぞろえ。
週刊誌まである。日本文化の発信にもなっているようで日本語検定の本や折り紙も売っていた。
駐在妻に需要があるのか洋裁、手芸の本が充実していました。こんなところでスタイルブック見るなんて…。
日本風のショートケーキが売っていたり。
すごいなぁ。リトルトウキョウ!日本みたいだ。
日本食スーパーのタモさんはとっても若く店内には浜崎あゆみの曲がかかっている。20年前のトウキョウ。まだここまで景気が悪くなかった時のトウキョウ。
なんか美味しい日本食食べたいなと思いながらとある日本食料理屋のメニューを見てみる。
OLをしていた頃昼休みに行った定食屋のようなメニュー。ふと鬱がよぎる。私、またこんな昼定食食べる日がくるかしら。毎日朝起きて仕事して昼休憩してまた働いて。ちゃんと時間通りに帰れるかしら。上司とはうまくやれるかしら。それから同僚。無視された挙句仕事から干されまくって後輩から「暇そうですね」って言われるのは避けたい。いや、百歩譲ってそれを甘んじて受け入れたとして人事課とか管理職の人間からはめられるようなことは避けたい。いや、そうなったらまた休職してがっつり会社のお荷物になってやれ。辞めるのはやめよう。というか日本で就職できるだろうか。いやいや、もうあんな思いしたくない。新しい人生切り開くために建設的な毎日を生きるためにここまで来たんだから戻らないよ。でもここドイツでどうやって暮らしていくの。言葉でつまづいているのに…。日本食のメニューを見ただけでこれだけの思いが一瞬で頭の中を駆け巡った。日本食恐るべし。
気を取り直して行列のできているラーメン屋へ。
ふつうに日本人が出てきたから張り切って日本語で「1人です」という。「お一人様ごあんなーい」とカウンター席に案内される。
両脇にはドイツ人。店は日本人と外人が半分くらいずついる。「味噌ラーメンひとつ」と頼むとドイツ人がチラ見してくる。右脇のドイツ人は日本びいきっぽくて厨房の様子も珍しそうに写真に撮っていた。
狭い店内に日本人の店員もたくさんいる。その割に一人一人はきびきび動いていない。何となく動作がぎこちなく、「こんな感じで日本で弾き出されてここに来たのかな、私と同じように」と勝手に考えてしまう。
そしてトイレに行くとトイレの清掃手順が日本語で書いてあり最後に「責任持って行うように!」と書いてある。責任…?!責任なんて持ってやったもん負けなんだよ。やらないやつが勝つんだよ。責任っつう言葉が嫌いだよって思って悲しくなった。あれだけ日本人が群れていればここがドイツだろうが日本と同じようなことが起きるんだろうか。先輩後輩、同調意識、パワハラ、いじめ…。彼らは何のために日本を出てきたんだろう。ラーメンめちゃくちゃ美味しかったのに私の発想がクズ過ぎて暗い気持ちになってしまった。
通りを抜ける途中でネクタイだけ欧米仕様で派手なものをつけたスーツのオヤジとすれ違った。新宿とかにゴロゴロいるようなオヤジ…。「アイツ、ここドイツに来てまでパワハラ働いてるんじゃなかろうか」
もう、やめようよ。こんなこと考えるの。
オエッて吐き気がした。
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