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欧州最大の日本人街デュッセルドルフ② 〜それでも鳥が好き〜

日本人街を抜ける頃にはすっかり鬱気分になってしまっていた。この日はずっと前に登録していた転職サイトから新着求人のお知らせが入っていてたまたま開いたら前職と同業の企業の求人がたくさん載っていた。「日本に帰って同じような仕事して落ち着きたい。また独身OLに戻りたい」なんて妄想が膨らんでいた。私はすっかり日本の悪いところを忘れていてそれがデュッセルドルフの日本人街で現実に引き戻されて心の居場所を見失ってしまった。通りは終わったけどあてどなくまっすぐ歩いて行く。街の雰囲気が変わり旧市街へと出た。

古い建物の街並みに手入れの行き届いた公園が広がり落ち着いた雰囲気。さっきのビル街が嘘のよう。
川辺にでかいアヒル?カモ?がたくさんいる。ドイツの鳥は人を恐れない。我が物顔で生きている。「たしか朝食べたスーパーのパックサラダの付け合わせの大豆があったはず…」豆まきで撒くようなような大豆をやるとモノ好きなアヒルがグエグエ言いながらガリガリ大豆を砕いて食べていた。時々鳩が隙をついてカケラを奪って食べる。その横で豆に興味のないアヒルが羽繕いをしている。「鳥でかいな…」

ぼんやりと鳥をひたすら眺めてしまった。そのうち羽繕いしてた鳥がボーッと見てんじゃねーよと言わんばかりに私に対してグエグエ鳴いてきた。
「鳥見てる場合じゃない。就活しなきゃ、じゃなくて勉強しなきゃ、じゃなくて。えぇーと何しなきゃならないんだ?とにかく鳥ボーッと見てるのはよくない」とその公園を後にした。

旧市街には聖ランベルトゥス教会があってさらに突き当たりにはライン川が広がっていた。

さっきのビル街とは全く違う趣のドュッセルドルフ。ちょっとベンチに腰かける。
身体が冷えたのでチョコレート屋さんでホットココアを飲んで駅へ向かう。

昨日のバスで疲れていたのかそれとも日本での出来事は私にとって重くてつらい出来事だったのか。分からないけど嫌な思いから逃れるようにドュッセルドルフを後にし、次の目的地へと向かった。

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